売り方がつくる相場
50年前の金融危機とそっくり
有為 GW明けです。間があきました。つながりません。
「5月に売れ」といわれますが、
決算を迎えるヘッジファンドのポジション調整が主因。
8日、米雇用統計が発表されます。
どうご覧になっていますか。
奥山 GW明けやヘッジファンド、米雇用統計など一過性の材料。
5月や6月に流れが変わるわけではない。
ソニー(6758)を見ていればわかる。
2012年11月772円の10倍返し。
07年5月の7190円を抜いてくるまで変わらない。
まだ5合目に過ぎない。
有為 相変わらず決まってますね。切れも一味違います。
ソニー(6758)は2000年3月、3万3900円が上場来高値。
当時IT バブルで比較になりませんが、
今回は業績回復と取り組みが手掛かり。
業績より売り方の買い戻しが目立ちます。
奥山 ソニー(6758)は日経平均の代表的な銘柄だが、
全体も先物主導で業績より需給相場。
証券恐慌の昭和40年、山一特融に続き
戦後20年振り国債発行が認められ、
売り方が次第に追い詰められていった経緯とそっくりだ。
当時も今も金融危機で売り方がつくる相場。
公的年金や郵貯、かんぽなど長期に打ってつけ。
買って寝かしているだけで運用益が膨らむ。
有為 個人は売り越しです。
3月1060億円に対し4月1兆6048億円。
1~4月累計3兆円。
日経平均2万2000円どころに持ち合い解消による
固まったしこりがあり、この水準を抜くと
買い越しに変わるといわれます。現在、胸突き八丁。
貸借、信用、裁定取引など売りたい強気と買いたい弱気。
噛み合いません。
その代わり、3月末待機資金の受け皿
MRF(マネー・リザーブ・ファンド)残高が11兆円突破。
過去最高です。
奥山 世界中が国債バブル。
問題先送りでスケールアップしている。
規模がケタ外れな一方、本質的に日本の40年不況と変わらない。
このため、売り方が踏むまで際限なく続く。
買い方は担保価値がゼロになるとパンクするが、
売り方は買い戻すまで無限。
40、41年ひどい目にあった。
同郷の先輩が並外れた追い証に苦しみ、
一度食事を伴にした覚えもある。
政府の赤字国債発行に売り向かい国策に逆らった。
有為 ちょうど50年前ですね。
100年前、第1次大戦当時も大荒れの相場でした。
明治末から大正にかけて沈滞が続き、開戦の翌年から戦争景気。
大正4、5年にかけて株成り金を生みました。
「戦争は買い」だった日清、日露に対し、
先行き不安から恐慌状態。
世界貿易の途絶、欧州の混乱など
不安が先に立ったといわれます。
郵船、鐘紡、日石、満鉄、東株など投機の中心。
売り方の打撃が大きかったと伝えられています。
奥山 ソニー(6758)の7000円と野村HD(8604)の1000円も目安。
相場は理屈でなく結果。私は誰も信用していない。
自分の失敗を糧に編み出した法則のもと、
高値から半値以下になった一流の銘柄を
ご縁のある方にお知らせしている。
このため、悪いニュースを歓迎。
40年以上、「田舎の名医」で通している。
有為 そういえば、最近メディアによく出る平野憲一さん。
アタリがいいと評判ですが、
昨年オリジン電気(6513)の解説が奥山さんと正反対。
市場で話題になりました。
奥山 自分が220円の時に奨めたものを、
平野さんが550円でどうぞといっていた。
皆さん、どちらが正しいですかといったまでだ。
有為 平野さんが東大出だけにパンチがありました。
上げ相場を知らない若い人が増えています。
ヘッジファンドをはじめ機関投資家もサラリーマンで似た者ぞろい。
材料が出るまで手を出しません。
今の相場が50年、100年前と通じるのも
彼らに体験を通じて勉強してもらういい機会。
奥山さんも昭和40年の証券恐慌でエキスの大半を吸収された。
NYダウが1929年の高値を25年かかって取り戻したように、
日経平均も1990年の暴落から25年かかって
デフレ脱却にこぎつけました。
奥山 これから5、10年面白い。
特に前半5年、日本にとって追い風。NTT(9432)も若返った。
いずれ東京エレクトロン(8035)にも買い信号が出る。
有為 日本の運命を40年周期で見る人もいます。
日露戦争に勝った1905年から太平洋戦争に負けた45年まで下り。
それから85年のプラザ合意にかけて上り。
以降2025年まで再び下り。
これから10年正念場を迎えます。
奥山 特に前半の5年が面白い。
日本の相場がカンフル打ちっ放しの欧米より若い上、
サプライズで高値から半値以下になった一流の銘柄を
逆張りで仕込めば迷いも消える。
有為 おかげでつながりました。運命や国策に逆らわず前に進みます。