体制維新‐大阪都
橋下徹 堺屋太一 (文春新書827 本体850円)
現実的な大阪都立ち上げ
雄弁な橋下市長を堺屋太一が支援
大阪が変われば日本が変わる。現実的になってきた。昨年11月の選挙で大阪府知事と大阪市長に維新の会圧勝。府民880万人、市民260万人の民意を物語るものだ。1943年に東京府と東京市が合併して東京都になった前例が手掛かり。官のトップダウンでなく、民によるボトムアップでなおさらだ。雄弁な橋下市長を堺屋太一が支援している。対談2本、都構想3本の構成。ともに現場体験があり、臨場感に満ちている。学者や評論家のやりとりと違って白熱したもの。維新145年、戦後からでも67年の既得権を一掃。体制変更に挑戦し有権者の支持を集めたところがミソ。名古屋市と愛知県、新潟市と新潟県など脈がある。国の大計をとやかくいうより、ロンドンやパリ、ソウルなど世界の大都市再構築を引き合いに二重、二元行政の弊害を強調。大阪府の構造改革を足場に1、2年後大阪市も追随。早期に大阪都を実現し、関西圏の自立を打ち出した。一極集中の東京に対しバックアップ機能よし。成功すれば全国レベルに広がり、永田町と霞が関が動揺する。無血の平成維新につながるというわけだ。新聞やTVの報道が急進的なのにひきかえ、対談と都構想を読めば骨格がうかがえ実績も明らか。維新の会は応仁の乱、下剋上の戦国時代にタイムトリップ。府民、市民レベルでシステム一新。大阪都立ち上げを通じて新しい日本のモデルケースになる。