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新刊・書評

書評   お金は紙だ   6月22日 (2011.06.22)

 

マスコミとお金は
 人の幸せを
  こうして食べている

 THINKER 徳間書店   税込み 840円

 

初刊がクリーンヒット 
 国際銀行家に迫真のアプローチ

  
09年、名古屋を拠点に立ち上げた市民グループTHINKERの初刊。クリーンヒットになった。11年3月、5次元文庫に入り異彩を放っている。情報収集、執筆、企画、編集、デザイン、映像など分担。デビュー早々、一皮むけた印象である。代表が1970年生まれだけに成長より熟成の楽しみ。3・11から世の中が一変し、第2、3弾に期待がかかる。内容は、19世紀以降世界史と日本史200年の総括。歴史は勝者の記録といわれるが、新聞やTVなどマスメディアの伝える事実と真実のギャップを埋めた。現代社会を知るためのエッセンスを詰め込んだという。キーになるのがお金とマスコミ。この二つをたどっていくと、驚くほどはっきり世界の全体像が見えてくるという。ショッキングな内容もあるが、現状を知り認識を新たにすると、次の心構えができる。目次を見ても、隠されてきたお金のからくり、これまで国際銀行家がしてきたこと、国際銀行家ってどんな人、さらに国際銀行家がつくり出す世界統一政府など迫真のアプローチ。結びの第6章、これからの時代をどう生きるか。解答例も新鮮でよくわかる。忘れてならないのは「お金は紙だ」と力説。古代主流だった銀貨から、中世ヨーロッパで預り証による紙幣の始まり。事実上通貨発行権を握ったロスチャイルドとロックフェラーのてん末が興味深い。文庫本で400ページを超えるボリューム。維新、敗戦、東日本大震災にも通じており、日本を取り巻く情勢もあらかたわかってきた。「マネーの支配者がこれまでの歴史、現在の世界をつくった」のである。