昭和の風林史 (昭和四七年十一月四日掲載分) (2014.11.05)
余ること必至 買い目ない小豆
来年が凶作ならば話は別だが、
いずれは荷もたれ必至の小豆である。
強気は出来ない。
新ポは予想外の堅調場面であった。
これという材料も見当たらないままに
後場になって値を上げた。
そして先限四月限はまたまた九千円に今一歩と迫った。
材料らしい材料がないままに上がったので
売り方の動揺を招いたようだ。
あとになって消費好調が急騰の原因だという。
これから一カ月は年間最大の需要期である。
よく荷がさばけても当然だ。
しかも、つい二~三カ月前まで道産物は
一万五千円以上もしていたので、
実需筋は値下がりを見越して
買い手控えていたのであるから、
半値ともなれば
当用買い以上に買い物が集まっても不思議ではない。
しかし、小豆というものは
本来、需要の弾力性が極めて低いものである。
半値になったからといって倍食べられるものでもない。
逆に一俵二万円しても三万円しても
結婚式の赤飯には小豆を使わねばならないといったものである。
だからいま少し荷動きがよくなったとしても、
また値段が半値になったからといっても
年間を通じての消費量は去年とそう変わるはずがなかろう。
とすると、四十六豆類年度(四十六年十月から四十七年九月まで)の
小豆の総供給量は八十一万二千俵の輸入と、
出回り五十五万俵の道産物の合計百三十六万二千俵であった。
それが四十七年度は年初在庫がすでに二十三万二千俵。
予想される道産の出回り量が百六十八万俵。
現在までの中国小豆の成約量
約一万㌧弱(十六万俵)を合計しても二百七万俵余となる。
去年と比較するとすでに七十一万俵余の供給増である。
これだけの余分な小豆を一体誰が食べるのか?
そのうえ安くなった安くなったといっても
消費者に届く値段は今のところ一向に安くなっていない。
大阪の松亀穀物で道産新穀一升(約一・四㌔㌘)を
二百五十円(一㌔当たり百八十円)でわけている。
これは安いので好評のようだが、
デパートで開催されている北海道物産展での大納言小豆は
三百㌘百円と去年と比べそう安くはなっていない。
これでは目先、年末需要をあてこんだ筋の買い物が
一巡すれば、
品物はダブツキ値は崩れるという事態も免れまい。
売るしかない小豆だ。
●編集部注
再度九千円チャレンジ。
格言で、相場は悲観の中で生まれ、
懐疑の中で育つと言われている。
【昭和四七年十一月二日小豆四月限大阪八九五〇円・三〇円安/東京八八七〇円・八〇円安】