老人の怠慢か 2012年12月11日 (2012.12.11)
年賀状は来なくてもよい。出すのがめんどうである。
八十過ぎの老人の怠慢である。
街の薬局で売っている風邪薬を求めたが、
あまり効かない。のどの痛みである。
家の中にタバコが無くなったので、
灰皿の中から拾い出して、皺(しわ)をのばし、
パイプで吸う。
パイプと言っても、
東京の三越百貨店で買った、琥珀の上等なものである。
ライターは銀製のダンヒル。
いかにも贅沢なようであるが、タバコはアイシーンの5mg。
スリーキャッスルが好きだった。
家の居間に下げてある全裸の美女のカレンダーも寒うござると申す。
それにしても寒いのには参ります。
朝起きたら、雪が積もっていた。
寝床の電気火燵(こたつ)の目盛りを上げても利きません。
軒下の雀も鳴いてくれない。
近頃は山鳩も庭に来てくれない。
震撼と寒さに震えている。
寒い時には、温かいものを食べよというが、
冷蔵庫の中にはプリンが二ツほどあるだけ。
二級の免許を持つヘルパーさんが
『風呂に入れ入れ』とやかましい。
「貴女と一緒なら入る」と言ったら
それから言わなくなった。いやらしい老人と思ったに違いない。
『あら、いいわよ。背中をお流ししましょう』
と言ってくれたら、一級の免許にしてあげよう。
老人というものは、なにかと無駄口を叩く。