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森羅万象

ボルトとアンペア ボリウムの威圧がない (2019.02.15)

昭和の風林史(昭和五八年二月一日掲載分) 
小豆は売りのままでよい
小豆は
総強気・マバラ大衆売り上がり。
相場は買うほどに
反動安がきつくなろう。
値段を上げた割りに
小豆の出来高が大きくならない。
また取り組みも増大しない。
これは限られた資金しか
小豆市場に参加していないからで、
パワーというものが感じられない事と、
ボリウムの威圧がない。
電力でもそうだが、
電圧(ボルト)メーターばかり高くても
電流(アンペア)メーターが
上がらなければ動力にならない。
この逆の、電流ばかり上がっても
電圧が低くては機械は作動しない。
今の大豆は
ボルト・メーターばかり
上がっている格好。
反して小豆は
アンペアメーターのみ上がる。
小豆は先限サヤを買って生まれて、
八千五百円の七月限を
期待している人が多い。
否、強気になりきった人は、
九千円台→三万円を夢見る。
主催・ホクレン。協援・農水省。
協賛・高値掴みグループ。
しかし動員される観衆はマバラ。
そのような姿の小豆だ。
入りが悪いなあーと
企画者は首をかしげる。
もう一段高に上げようと思えば
上がるだろうが、
息切れしそうな相場を
無理押しすると反動がくる。
もう一ツ。
これは
天の理というか人の道というか、
去年、場を止めて、
あれだけ大きな迷惑を
業界にもたらせた人が、
一年まだ喪も明けぬうちから、
やたら表面に出てきては、
商売の道、相場の道。
そんなものでない。
謹慎中の身が、
相場で大儲けできたら、
この世は闇だ。
そんな資力があるなら
業界に返せの声高い。
輸入大豆は、
東京七百七十。大阪八百円。
これを
先限引き継ぎで買うわけだが、
売り方だって
マンホールのフタが
ふっ飛ぶようなガス充満を
警戒している。
ボリウムが
日増しに増大しているのだから、
マッチ一本大爆発。それが怖いのである。
●編集部註
 言わずもがな、
風林火山はこの時、大阪の中心部、
キタとミナミの
本当に真ん中付近にある事務所で
原稿を書いている。
 マッチ一本で大火事に至る実例を
10年前に間近に見ているはずだ。
 それは相場の比喩表現ではなく
本物の大火事、
千日前デパートの火災がそれである。
むしろ、この火災があったからこそ
相場の比喩表現に
火事を用いたとも言える。
 煙草に火をつけた後の
マッチを一本、ポイと捨てて
死者118名である。
 そういえば、
82年のホテルニュージャパンの
火災も宿泊客の煙草の不始末が
原因であった。