証券ビュー

森羅万象

悲観材料 声高に過大視の一般紙 (2019.01.16)

昭和の風林史(昭和五七年十二月八日掲載分)
輸入大豆の買い場考える
輸入大豆は
年末に大底を打つ相場癖がある。
三千七百円、六百円は素一の買い場。
輸入大豆の先のほうの限月で
三千六百円あたりがあれば、
絶好の買い場になるだろう。
輸大の相場癖は年末底になりやすい。
人気面からいうと、もっともっと、
まっ暗闇の弱人気になれば判りやすい。
おそらく
T社の買い玉は投げるだろうとか、
中国大豆の入荷が増大する。
物の売れ行きが悪い等々、
悲観材料に事欠かず、
それを声高に唱えられるわけだ。
もっとも
T社大量の買い玉が投げに入れば、
もう少し安いかもしれないが、
多分その時は瞬間的な下げに終わるだろう。
三千六百円あたりなら
強気したいというのは、
中国大豆の圧迫を
過大視しているふしがある。
IOM離れというが、
中豆20万㌧では、
日本の食品大豆の需要は賄いきれない。
シカゴと逆ザヤで商社が
IOMの手当てをおこたれば、
もし仮りに南半球(ブラジル)の
作柄にキズがついたり、
シカゴ相場が底入れ観で
大直り6㌦台に買われたら、
これは穀取輸大相場は大暴騰だ。
そういう時は円相場が
買われるだけ買われたあとの反動で
崩れてきたりするものである。
相場は人気と日柄である。
もちろん需給にまさる強弱なしだが、
需給は気をつけていたら誰でも判るが、
日柄と人気は、知らず知らず
〔買いつき型〕か〔売り込み型〕に
なるものだ。
いまの場合、見渡せば
野も山も弱気ばかりとまではいかないが、
これとて
時間をかければ安値おぼえになるものだ。
先のほうの三千六百円台が
あるかどうかは判らんし、
もしあって、それを買って
すぐ儲かるかどうかも判らんが、
なあに来年二月、三月頃まで
待てばという考えなら、
案外年内利食いできたりするのが
相場の皮肉性である。
●編集部註
 〝野も山も弱気〟となれば、
慄きつつも目をつぶって
買わなければならないのが
相場師としての矜持であるといえよう。
ただこの時、
そこまでには至っていないと
分析している。
 ここ最近の日米株式の一般紙での
弱気な論調が存外
〝野も山も弱気〟の状態に近いかも知れない。
テクニカルやサイクルを中心に
相場を見ていると、
今回の下げは日柄的にも値幅的にも、
そして星の動きからも、
起こるべくして起こった下げである。 
大衆は全て間違っている
という一見高踏的な相場格言は
実の所そんなに間違っていない。
存外、こおいう時に仕込んでおくと
騰がるのが相場だ。