悪材料に対しての免疫 安値叩くと摑まる (2019.01.11)
昭和の風林史(昭和五七年十二月六日掲載分)
小豆いよいよ買い場接近
小豆の七千二、三百円以下あれば
絶好の買い場になる。
安値叩くと摑まる相場だ。
T社の生糸売り受託店の処分
(八日横神両取理事会)が
六社・八社と具体的社名が流れ
喧々ごうごう。
処分の線引きをどのようにしたのか。
この店が入って、
なぜあの店はまぬがれたのか―。
また、T社生糸売りの玉を抜け解け合いで
ほどいたのは役所→生糸取引所の
切なる懇願によるもので、
あの場合はああするしかなかったという解釈。
だから処分の対象にしない
という条件もついたようだ。
もしこの処分が決定すれば
さまざまな問題が発生しよう。
その一ツに輸入大豆のT社玉受託は
どうなるのか。
この場合、四十数社が
営業停止処分となれば、前代未聞。
協会、取引所の役員、理事に
残る人がいなくなる。
T社問題は相場強弱にも絡んでくる。
そしてこれがまた取引員経営上の
種々問題に波及する。
そんなこんなで
今年は年の瀬ぎりぎりまで、
なにが起こるか判らない。
小豆は、七千円割れがあれば
なお結構の段取りで
安場を買いはじめてもよいと思う。
在庫増、実収高発表、輸入枠問題等の
悪材料に対しての免疫が
できてくるところだ。
ここで一気に叩かれると、
九千七、八百円あたりを摑んだ因果玉が
投げてくる。
この投げが出たら灰汁抜けできる。
辛抱できる人は
頑張ってナンピンかけるべきだ。
トレンドからいうと、
七千二百円以下成り行き買いになるし、
日柄も12月10日~15日あたり急所。
輸入大豆はT社がらみと取引所の出方。
それによって玉次第というところ。
今週は
処分問題にからんで騒然となる週だ。
●編集部註
ほんの十数年前まで、
各社の手口は公開されていた。
しかも今と違って、
ここで登場する大豆や小豆相場は
ザラ場ではなく板寄せである。
前場の何節で、何処の会社が
何枚の注文を出したかが
判るようになっており、
翌日にはその一覧が各社に届く。
そのため、T社がどんな取引を
していたかは、白日の下に晒される。
前日の記事で、T社の取引を
インパール作戦になぞらえていたが、
戦中派にして
ミリタリー関連にも造詣が深い風林火山が
この作戦を引き合いに出した
という点に意味がある。
恐らく、過去の経験則から
壮大な負け戦の匂いを
感じ取ったのではないか。
もしこのT社が、数年後に
社会問題化するあの会社であったのなら、
負け戦どころか、殺人事件が起きている。