怖いようだが 満つれば欠くるは世のならい (2018.11.30)
昭和の風林史(昭和五七年十一月四日掲載分)
輸大当限は完全天井の姿
輸大当限は
飛びつき買いさせておいて天井を打った。
小豆の強いのは今週一杯。
小豆相場は強気にさせられる材料が
声高になったが、
せいぜい今週一杯の強張りに終わると思う。
輸入外貨枠の発券を調節して
価格を維持させ、
人気を盛り上げて生産者に、
よい売り場をつくる政策主導のスタイルだが、
農家は相場が高くなると
欲が出て売り渋るものである。
そうなると相場は
更に高くなるのが道理だが、
実需筋の役所に対する突き上げも
きつくなるのが道理。
投機家としては、
人気が強くなったところを
逆に売り上がっていくのが今の場合、
怖いようだが、ご正解だと思う。
見ていて判ることだが
高値因果玉を抱いたままの強気が多すぎる。
いうならいまの強気は
曲がり屋の残兵である。
戦況を、なんとか持ち直そうとするだけだ。
相場の流れとしては気一杯今週買っても
来週からは伸びる力を失う。
四月限の売り上がり
が年末相場崩れの本命である。
現物事情に詳しいファンダメンタリストほど
強気になるが、
それと相場はまた別のものである。
相場は相場に聞くだけ。
輸大は買いも買ったり、
びっくりしたナアモ。
業界の自粛通達は建前だけで、
あの店も、この店も
裏口はオープンだから
金屋系の玉は幾らでも建つ。
三市場・新甫(満月)
四万五千三百枚強の出来高は
玉三郎買いもさることながら
ワーンと地鳴りするほど提灯がついた。
線型は東京当限15日・29日
六百円同値の天井型。
そして名古屋新甫・2日の組み合わせ
当限線は大暴落線。
大阪当限29日天井線新甫と
2日は念の入った強烈売り線。
満つれば欠くるは世のならい。
商社も満を持して繋いだ。
大阪に中国大豆の
ウズが巻く(虐待格差なし)ことになる。
●編集部註
〝びっくりしたナアモ〟が
往年のコメディアン、
三波伸介のギャグであった事を
知っている人達が
現在どれだけいるのだろう。
まず30代は彼の存在を知らないと思う。
当時の人達は、
ここから一カ月と数日後に
もっとびっくりする事になる。
てんぷくトリオというお笑いグループで、
伊東四朗と共に井上ひさしの台本で
コントをやっていた彼は、
今も続く笑点の司会など、
当時のバラエティ番組に引っ張りだこの
人気スターであった。
1982年12月8日、
彼は人気絶頂のなか、
多くのレギュラー番組を抱えたまま
解離性大動脈瘤破裂で急死してしまう。