「階段落ち」 上向きになるには少し時間が必要 (2018.11.16)
昭和の風林史(昭和五七年十月二一日掲載分)
三万円の小豆は売り場だ
小豆は三万円乗せを売ればよい。
実勢悪がこれから出てくる。
輸大の下げは深い。
小豆相場を、
なんとかして蘇生させたい願いが
今の買い方の気持ちである。
弾みさえつけば―
と力を入れて買うわけだが、
環境は戻すほど、あとが悪いと思う。
小豆の11、12、1月限には
高値買いの因果玉が残っている。
先二本の2、3月限は
二万八千円台の売り玉が掴まった格好だが、
少々高くても踏む必要はないと思う。
強気する人は行政面で
外貨枠の絞り込みによる価格テコ入れが、
一ツのよりどころであるが、
自由化問題に絡む外貨枠は
流動的で予測もつかない。
思うのであるがこの相場は
実勢悪と仮需不発などで
二万八千円割れ→二万七千円割れとなった時に、
はじめてホクレンの棚上げなどがいわれ、
そこで大底を打つのでないかと思う。
大局的なトレンドからみると
二万六千円なしとしないコースを残している。
相場は、よもや、まさか、そんな馬鹿な―
という値段が出て初めて
天井も打ち、大底も入る。
そのような見地からいうと
十月1日安値は七月19日安値に対して
両足つきの二点底型であるが、
七月の安値は仕手崩れ、解け合いの
ショックによる値段で
作柄も決定していない時点だった。
という事は、あの安値は
市場内部要因によるもの。
では十月1日の安値はなにか?
これは豊作相場の現物実勢から来たもの。
そしてこれから先に予測される安値は
需給相場における現実の実勢悪と
投機家不在による仮需不発。
そして現物の圧迫である。
さて輸大だが中豆成約の報で二番限S安。
煎れもでたあとだし納会の俵も読めるし、
これからは
飛びつき買い玉の整理場面である。
そしてシカゴが五㌦割れ
ということになるだろう。
●編集部註
相場は意地悪である。
予測通りの相場展開になるケースは
稀である。
シカゴ大豆はこの年の10月に
節目となる安値をつける。
それは逆三尊の頭となっていた。
ここに
消費地市場と生産地市場の悲哀がある。
為替の関係から、国内の大豆相場が
上向きになるには少し時間が必要だ。
小豆市場も10月末までは戻るも、
そこが戻りの限界。
下降局面が続く。
この年の10月、
つかこうへい原作「蒲田行進曲」を
深作欣二監督が映画化。
この作品のクライマックスは
「階段落ち」なのだが、
この時、東京の穀物市場は
「階段落ち」の真っ最中であった。