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森羅万象

秋の日のビオロンの 反知性主義が跳梁跋扈 (2018.09.18)

昭和の風林史(昭和五七年八月二六日掲載分) 
まさに小豆は崩れんとす
小豆売りの輸入大豆買い。
方針不変。
小豆はアッという下げが、
今日か明日あろう。
小豆相場は
三万円割れを前にしての抵抗をみせたが、
作柄がよいだけにそれ以上に買えない。
要するに今の小豆は買っても夢がないのだ。
もう一ツは、
作付け面積の大幅増反を逆に買った現象。
これは素直でない。
従って、いずれ、
増反売りという場面があるはずだ。
相場波動としては七月19日安値から
夏天井を取りに八月12日まで、
反動をつけて反発したが、
一本足のV型底は、
もう一本、必らず取りに下げる。
その下げ地点が、
目先二万九千五百円(先限)あたりだろう
と思う。
そのあたりから
千円ほど戻すかもしれないが、
これは九月上旬の相場で、
再び絶好戻り売りとなろう。
そして来月中旬からの下げが、
いわゆる秋底を
取りにいく二万八千円割れへの、
秋の日の
ビオロンのためいきの身にしみて、
ひたぶるにうら悲し。
げにわれは、
うらぶれてここかしこ、さだめなく

という下げがくるのである。
ところで輸入大豆のほうだが、
期近限月から反撃にはいって、
やっぱり底を入れたのだね―と、
あとから気がつく。
こちらは小豆と違って、
相場が若いし、
逆ザヤに売りなしの図だ。
読者から期近限月は
気持よく上げるのに買った先限は、ぬるい―
と心配顔だが、
先限も走りだすから大丈夫。
東京輸大のトレンドは
24日の二百六十円以下(先限)は下げ過ぎ。
25日すぐその分を奪回。
ということは弾みがついた。
四百十円三分の一。五百三十円半値。
そのあたりを狙った動きになっている。
●編集部註
 暦の上では秋。風林火山が生きていたら、
反知性主義が跳梁跋扈する平成の最後の秋を
どう見るだろう。
嘆くのか、あきれるのか、
それともセ・ラヴィ、
と全てをやり過ごしてしまうのか。
 少なくとも相場の分析に
ヴェルレーヌの詩が登場する事は、
後にも先にもないのではないか。
 フランスの詩人を原書で読む人は
今も昔も少ないと思う。
ただ昭和初期の知識人の一般教養として、
上田敏の「海潮音」は、例えば
山のあなたの空遠く幸住むと人のいふ〟などと
幾つか諳んじる事が出来た。
三代目三遊亭圓歌
この詩集を落語のネタにして人気を博した。
 本文に登場する一説は
海潮音」からの引用だが、
この箇所は、
第二次大戦末期の
ノルマンディー上陸作戦で、
暗号として使われた事
を知っていると、
少し意味合いが変わる。