証券ビュー

森羅万象

各人の判断 力量の範囲内でしか理解できない (2018.09.07)

昭和の風林史(昭和五七年八月十七日掲載分)
輸入大豆買いの小豆売り
輸入大豆買い(S高連発もあろう)の
小豆売り三万円割れ狙いのところである。
輸入大豆相場が
小豆の下げ相場みたいに
玉整理が強要され、
完全に灰汁(あく)が抜けたから
急反騰に転ずるだろう。
輸大に対する人気は
戻り売り一色である。
それだけに、
おやおや、あれあれ
という人気の裏の動きになる。
暴落していた魚かすの相場も止まり、
今の大豆は
製油メーカーにとっても安過ぎる。
ひとたび相場の流れが反転すれば
S高連発も可能の輸入大豆相場である。
ところで小豆のほうだが悪い線型である。
週明け夜放れ安は、
相場が三万円割れ
(ミスプリントでない。三万円大台割れ)
に直行する暗示だった。
誰がいま、
小豆の三万円割れ(先限)を
考えているだろうか。
全般に強気支配で
押し目買い人気である。
これも輸大と同じく
人気の裏目が出るだろう。
輸大買いの小豆売りもよし、
証拠金の低い輸大を
集中買いするもよし。
それは各人の判断であろう。
昨日も書いたが、高名な画家が
『自分の力だけしかモノは見えない』
と書いていたが、
相場も確かにそうだと思う。
人間を見る目、
世の中の先を見る目、
あるいは芸術作品を見る目、
いずれもそれは
自分の力量の範囲内でしか
理解できない。
そして、普通は、そのことにこだわる。
強弱聞いていても、
余りにも、こだわりが多いと思う。
相場はあくまで相場様である。
なぜ高いのか、なぜ安いのか
判らん時もあるが、
下がりたがっている(小豆)、
上がりたがっている(大豆)の
呼吸が手にとるように判る時もある。
●編集部註
 小豆がここから
真っ逆さまに下がって行く点については
以前も述べた。
 では、この時大豆はどう動いたのか。
週足を見ると、
相場は前年末の安値とつら合わせとなり、
この時期、底打ちが近いかも、
という期待感が買い方の中で
熟成されるような線形になっていた。
 しかし、現実は残酷なもので、
これはチャートパターン的に
中断の保合い下放れの線形であった。
 結局、大豆相場も小豆相場と同じく、
83年まで安値基調が続く。
 小豆相場と異なるのは、
シングルボトムであったという点。
両相場とも83年1月に
節目となる安値をつけたが、
大豆がこの安値を頭にした逆三尊の
形状を夏に完成させたのに対し、
小豆は5月末にダブルボトムをつけた。