昭和の風林史(昭和五七年七月二九日掲載分)
S高連発もあり得る怖さ
押しは浅く、伸びは強烈
というパターンである。
意外な大相場に発展していくと思う。
相場に押し目は付きもので、
押すべきところで押す押し目は、
すかさず買われる。
小豆相場の基調は出直り途上である。
風聞では桑名の板崎氏は
今の相場を見て切歯扼腕している―と。
なにもかも無くして
無一物の境に立った時、
はじめて無尽蔵となる。
相場が見えて見えて、
居たたまれない気持がよく判る。
筆者は、この相場は
意外な高値を付けると思う。
三千円幅や五千丁高では
済まないかもしれない。
二月10日の東京三万六千二百円。
まずあれを取りにいく相場だ。
あの時は11月19日から週足13本。
10月19日底から週足17本。
五千丁高。
この19日という日が気になる。
七月19日大安値日。
大阪は解け合い値段を取った。
東京も取るだろう。
そのあと週間足で月初あけた窓
(大阪二千円~二千三百二十円)を
埋めよう。
12限一代足では半値戻し。
軽く押して当然。
相場には息づかいというものがある。
恐らく桑名の板崎氏は、
相場様が自分の横にきて坐っている。
孝行のしたい頃に親はなし。
相場の見える時に弾はなし。
いま、誰よりも
相場が見えているのは板崎氏だろう。
トレンドは綺麗に離れて
上昇帯に乗った。
去年でいうと
五月25日から七月2日の
五千八百丁上げと同類の
トレンドである。
人気が強くなりきれない事も、
相場が若い事も強気要因だが、
好材料はあとから貨車でくる。
若い相場の押しは利食い押しである。
ましていまこの相場を叩く筋はない。
要するに上げ賛成ムードだ。
利食いした人はまた買う。
これを玉の回転が利くという。
押しの期間は短く、
伸びる時は大きくなるのも
典型的大型相場の特長だ。
●編集部註
この頃、日本の洋画封切館では
『ロッキー3』がかかっていた。
買い勝負ですべてを失い、
歯噛みして悔しがっている相場師も
いる反面、
まだ体力が残っている買い屋の
脳内にはこの映画の
主題歌であったサバイバーの
「アイ・オブ・ザ・タイガー」
流れていたのではないか。
元々ロッキーという映画の
根本的テーマは〝敗者復活戦〟である。
また80年代に
活躍した荻昌弘という映画評論家は、
ロッキーの第一作目が
TV放映された際、
上映前にこう解説している
〝…これは人生の
「するか」「しないか」の
分かれ道で「する」を
選んだ勇気ある人達の物語です…〟と。