瓢箪から駒 旗は鳴る鳴るラッパは響く (2018.08.17)
昭和の風林史(昭和五七年七月二八日掲載分)
旗は鳴る鳴るラッパは響く
まだ本気で強くなれない人が多いから
上げ足は非常に速いものになるはずだ。
産地の天気が悪い。
この先も今のような天候が続くようだ。
ここからの一週間十日が最大山場で、
55年凶作時も
七月下旬から八月中の低温が
相場をS高連発で走らせた。
六本木筋も桑名も
あと一週間頑張っていたら―
と死んだ子の歳をかぞえる。
あの取り組みなら、
期近の三万六千円総煎れ場面だ。
運は天にあり。
勝敗は兵家の常にして、
今あの時の弱気筋が強気に転換し、
三万三千円→五千円を考える。
世の中皮肉というべし。
『ひょっとしたら、
今度は高値解け合いかもしれないね』―と。
冗談じゃあるまいと思ったが、
瓢箪から駒という事もある。
考えてみると
〝大豊作〟予想を売った。
そしてそれが陰の極になった。
今度は
〝不作・凶作〟予想を買う番である。
人気面はまだ、ふっ切れていない。
迷いの霧の中にいる人も多い。
だからこの相場速いのだ。
安値取り組みで相場が若いこと。
四の五の強弱考える必要はない。
相場などというものは時に、
ちょっとしたヒントによる
ひらめきである。
概して
歯切れのよい強気が聞かれないのは、
まだまだ弱気が多いからだ。
これは強気側にすれば結構な現象である。
久しぶりに
「旗は鳴る鳴るラッパは響く」
という場面が展開しそうだ。
すでに多くを書く必要もない。
相場を人体にたとえるなら
目下「足」ができて、
これから腰と胴体ができ、
胸・肩→首→頭となる。
下げはこの逆の順を
ケイ線にはめて考えればよい。
●編集部註
たらればの恨み言を
言っているうちはまだ良い。
詮無き事なれど、
金銭的な損害を被る事はないからである。
精神的な損害、
運気の低下という面ではマイナスだが…。
問題は、ここで乾坤一擲の復讐戦で
買いを仕掛ける事である。
損切りドテンは福の神というが、
それは迅速に行わなければならない。
間をおいて、ましてや、少し相場を見て、
自分の思惑通りに展開しているのを
確認してから動くと大概失敗するから
相場は意地悪である。
買い方の屍の下には
もう一つ地層があり、
幾重もの白骨化し、
怨霊と化した売り方の屍が
眠っている事を忘れてはならぬ。
人生は歩きまわる影法師、
あわれな役者だ(シェイクスピア)。