兵站線伸びすぎ 勝敗の決着持ち越し (2018.07.11)
昭和の風林史(昭和五七年六月二六日掲載分)
将棋でいえば指し過ぎか
受けも受けたり御立派である。
しかしこの戦いは勝てない。
流れに逆らっている。
小豆当限納会は俵読みどおり
淡々と表面は納まった。
先月に続いてまたも受けも受けたり、
引くに引けん背水の買い方。
これで勝敗の決着は
七月に持ち越される。
受けた現物は
一俵一カ月二百十円の
倉敷料という時計が動く。
一枚80俵で一万六千八百円。
置いておくだけで
これだけの食い込みがある。
株券なら配当が付くけれど、
小豆は品いたみ分の目減りをかぶる。
商品定期相場で
受けなければならない立ち場に
立たされることは、
仮りにそれが作戦であろうと、
上策とはいえない。
まして大量手持ち現物は
ヘッジされていないどころか
七月限も八月限も九月限も
大量買いポジションでは
余りにもリスクが大きい。
買い方は、七、八、九の三限月に
焦点を絞って戦線延長だが、
兵站線が伸びすぎている。
これが敵地に
糧(かて)を得られる戦いならば
千里を行きても労せざるが、
兵站線が伸びるだけ伸びての
補給(臨増し、追証、倉敷、金利)だから、
君の軍に患するもの三ツ有り―となる。
まして雲の流れは更に急を告げている。
二カ月連続大量受けは異常現象だ。
受けたことにより
マイナスの要因を背負ったわけだ。
世間というものがある。
社会というものがある。
この業界では通用しても、
世間様は
常識をはずすと強い拒絶反応を示すものだ。
東京七八九枚。名古屋一一〇枚。
大阪四二一枚。
合計一三二〇枚は十万五千六百俵。
いずれにしろこの相場の決着は遠くない。
無理したとがめは大きいのである。
業界人は、ただ唖然としていた。
言うべき言葉を失っては、
まさに末期である。
暴落刻々接近中。
●編集部註
テクニカル的にも、
この時の相場の決着は遠くなかった。
4月、下降局面で大きなマドが出現する。
6月、このマドを埋めにかかる。
しかし完全に埋め切る事もなく、
翌日に反転下落する。
ここで、買い方にとっては
痛恨の罫線になる。
4月の時と同じようなマドが
生じてしまうのだ。
往々にして、
マドは埋められるためにある。
しかし、ここからの反騰場面では
埋める事も能はず。
つまりこの時、
小豆相場は2つのマドを埋め切れず、
2重の強力な上値抵抗線に
往く手を阻まれていたという事になる。
トレンドは切り下がり。
少なく見積もっても
3万2000円コースである。