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森羅万象

本間宗久伝 六月崩し見ようの事 (2018.06.15)

昭和の風林史(昭和五七年六月二日掲載分)
雨はどしゃ降り水は満々
大局的相場観は売り一貫。
本間宗久伝『六月崩し見ようの事』。
今月は決壊月だ。
小豆11月限は、
まずまずのサヤを買って登場。
向う半年間の航海に出る。
市場は、なんとなく掴み難いお天気だ。
五月の相場が
余りにも騰落激しかったので、
いささか疲れもした。
発芽期を控えて仕切り直し。
強気はあくまでも強気。
売り方は、どこまでも売っていく。
お天とうさんが行司役かもしれない。
先限引き継ぎ線で
上値三千三百~五百円のところがほしかった。
この上値を取らないと
下げるに下げられないトレンドだった。
その意味で、新穀のサヤの分を買って、
上値取りの役目を済ませた。
去年は六月中の上昇がきつかった。
相場水準は今と同じところから出発して、
棒立ちした。
産地の天候が非常に悪かった。
大幅減反も響いた。
今年は増反。
豆王国の十勝平野が三割増。
お天気も出足は順調である。
11月限の、サヤを買った分は、
早いか遅いかで、
あとから埋めることになっている。
だからすくなくとも
11月限は生まれ値から
千円幅を下げると思う。
在庫増。入船順調。発芽好調。
青田ほめ。全道作付け面積判明―。
幾つもハードルがある。
どれかで転ぶと人気はドッと片寄る。
九、十月限の三万二千円が頑強に見えても、
この下千丁は奈落につながる。
11月限が伸びきれずに垂れてきたら
これはもうヒネ限月は、どしゃ降り。
相場というものは資金があればあるほど
損が大きくなるもので、
それは資力を過信して
相場の流れに逆らうからである。
●編集部註
 〝相場というものは
資金があればあるほど損が大きくなる〟
とは、けだし名言である。
 煎じ詰めていくと、
最後は人間性なのかもしれない。
古くはギリシア悲劇、中国は邯鄲の夢を経て、
シェークスピアの戯曲を横切り、
ブレヒトからひとっ飛びして
現代のジェネレーションXまで、
金で高転びして落ちてゆく高慢ちきが登場する。
 相場とは関係ないが、
82年6月の日本で
新たに転がり落ちる人物が世に登場する。
 きっかけはその2カ月前の週刊誌。
老舗百貨店の社長が
専横を極めているという記事で、
実際にその一端が
公正取引委員会の審決を受けるのが
6月であった。
その3カ月後の9月に取締役会で
社長職を電撃解任。
この時に放った「なぜだ!」という言葉は
流行語になる。
 後に、彼は愛人と共に刑事訴追され、
上告中に亡くなってしまう。