証券ビュー

森羅万象

買いの仇花 上値残すがしんどい (2018.06.04)

昭和の風林史(昭和五七年月二十一日掲載分)
上値残すが売り場所狙い
強気のようで強気でない。
弱気のようで弱気でない。
上値残すがしんどくなった。
小豆の上値は、
まだあるはずだがしんどい。
三千三百円は半値回復。
三千八百円で五分の三。六割地点である。
もうひと鞭いれて
四千円といきたいところだが、
今やると馬が潰れる。
三千円台の庭の中で
陣幕張って休養したいが、
これとてタイムリミットがある。
相場は、やみくもに買えばよい
というものでないから、
そこのところが難かしい。
大阪の自己玉は買い急増した。
あまりよいお手々でない。
東京は売り多いまま。
ここは、強気のようで強気でない。
弱気のようで弱気でない。
そういった表情しかとる道はない。
少し遠い先の事を考えると、
増反→順気→豊作予想。
買い方現物抱かされる。
買い玉ふえざるを得ん。
とどのつまり日柄を食って、
ぶっ倒れる。
それはもっと先の事。
来月新ポに新穀11限を
幾らのサヤに買いきるか。
三万五千円とか六千円の11限なら
売り有利になろう。
今は、
相場が若いという買い方にとっては、
なによりの強味がある。
それと安値を売り込んだ玉を
掴まえている。
踏むか踏まぬか、踏まぬか踏むか
―請求書を突き出すところが
三万四千二百円地点。
この時、踏まない人は、
あくまで踏まない事である。
さすれば買い屋が
日柄で自滅するときがくる。
買い屋はどうしたらよいのか。
今年の天気が悪いと願うしかないが、
相場記者のカンでいえば
本年豊作型とみる。
三万五千円だ七千円だ
という相場ではない。
四千円台御の字ならば、
利乗り玉ほどほど利食い。
飛びつき買い厳禁。
あとは寝て待て売り場出現。
相場潰すに現物いらぬ。
日柄食わせば自然死ぬ。
●編集部註
 長い目で見ると、
この年の5月の上げは
大きな下げトレンドの中に
パッと咲いた仇花であった。
 切り上がりの相場基調は、
6月の高値から一転して
弱保合いに変化する。
それに気づくか否か。
 小豆相場とは関係ないが、
同じ頃のシカゴ大豆相場も、
大きな下げトレンドの中に
パッと咲いた、
買いの仇花であった。
 1980年10月高値を天井とする大きな下げ相場は、1982年10月に大団円を迎える。
 この2年での下落率は何と47・57%。ただその間、何週間かの反騰場面はある。この時のシカゴ大豆は、反騰で「もう」底であろうという夢を買い方が見た時期と重なる。「まだ」であったと気付く頃に、底がやって来る皮肉。