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森羅万象

横紙破り 落花枝に帰らず憂い濃し (2018.04.19)

昭和の風林史(昭和五七年四月七日掲載分) 
落花帰らず春風憂いあり
四月一日馬鹿天井。
あれで頭の低い三段上げを終わった。
落花枝に帰らず憂い濃し
小豆の現物問屋筋は異口同音、
売れ行きが非常に悪いし、
横の流通(取り引き)は、
まったく止まっている。
また小豆以外の雑豆は値下がりで
輸入採算を割っている―と。
二千五百四十万㌦に
千六百二十万㌦の予備枠という事は、
定期の二万六千円など
決して付けさせないぞ
という行政側の無言の圧力である。
自由化を阻止するためには
止むを得ないという配慮かもしれない。
幾ら枠があっても円安だし、
買うものがなければと強気は思うだろうが、
中国には一万㌧の安徽小豆がある。
これを入れたらよいじゃないかとなる。
政策には逆らうべし・逆らうべからず
という相場金言がある。
三万五千円以上は感心しない
という政策当局の心証を
逆なでするような行為は、
買い方自ら墓穴を掘る。
場勘の関係で下げるわけにいかない―
というのであれば、
これは建玉中心主義である。
相場を強気するのではなく
力を過信した考えで、これは邪道だ。
取り組みは減少傾向である。
これは崩れる前兆とみてよい。
順ザヤ。
そして
泣く子も黙るサヤすべり現象が始まっている。
在庫は四月末、五月末と急増カーブを描く。
売れる時期に相場を安くして
モノの消費をはかるのが本当なのに
敢えて高値に突っ張って
売れ行きを悪くするという事は
経済原則に反する。
即ち流れに逆らっているのである。
流れに逆らう事は、
流れを変えることではない。
それだけあとを悪くするのである。
●編集部註
 言わずもがな、投資と投機は違う。
株式市場の本分は企業の資金集め。
故に、資本にお金を投じると書いて投資と読む。
 一方、先物取引の本分は物価の安定。
モノの価格が高くなれば生産者は嬉しいが
消費者が苦しい。
安くなると消費者は嬉しいが
生産者が苦しい。
故に相場の高下極まった機会に
売買を促す事で価格は平準化する。
機会にお金を投じると書いて投機と読む。
 買い方の皆さん、
商品先物取引の原理原則を
忘れていやしませんか、
とここで
風林火山は指摘していると思って戴きたい。
 原理原則は
英語でプリンシプル(principle)という。
今思うと、風林火山は勝ち負けは別として、
相場のプリンシプルを
しっかり持っていた人であった。
故に広告を貰っている主務省でも
取引所でも取引員でも
横紙破り、怠惰、横着な姿勢を取る者は
徹底的に攻撃した。