証券ビュー

森羅万象

市場人気「この辺り、よいところ」 (2018.04.02)

昭和の風林史(昭和五七年三月十六日掲載分) 
利食い戻しは好売り場に
自由化論の次は次期ヒアリングをめぐる思惑。
これが実に難解、
目先の戻りは売り直されよう。
週末は吉次さんのお葬式に福岡まで行った。
月曜日は、
京丹社長の板崎さんの御母堂のお葬式だった。
相場のほうは戻り売りのように思う。
自由化論はひとまず“お預け”で、
次は次期枠ヒアリングをめぐっての思惑となる。
どの程度になるか、おぼろげなりとも、
その感触が掴めないと、
積極的に手を出せない。―と考えるのが常識だが、
委細構わずに買う筋があるので、
人気はエスカレートする。
崩れたりとはいえ、
期近はまだまだ強気の支配下、
納会で意外に荷を呼び、
どう転ぶか判らないにしろ、
今は売り込むのは少し怖い。
この点、期先二本は売り勢力が圧倒している。
それに先限となると、
次期枠引き当てのヘッジの重みが加わってくる。
三万四千円どころというと、
高値から二千円押し、
三万五千円台で時間をかけ
取り組んだ地点からでも千五百円押し、
やきもきした売り玉だけに、
マバラ筋は一応利を入れるところ。
「この辺り、よいところ」というのは、
こうした市場人気を言っているもので、
では、Vの字型の切り返しがあるか―
というと強気でも首をひねる向きが多い。
それにしても、
役所は次期枠を決めるのに
さぞ頭を悩ますことだろう。
予想より多過ぎてもいけないし、
少ないのも駄目。
一般にいわれる予想は、
上が三千万㌦から、
下は二千二、三百万㌦と幅広い。
五百万㌦も違えば大変なことで、
その兼合いが実に難しい。
まあ、それは横に置いて相場を眺めると、
先限の三万四千四、五百円どころは、
相当な戻り売りの圧力が加わりそうだ。
●編集部註
 お葬式と言えば、
この年の3月に米国のSF作家、
フィリップ・K・ディックが亡くなっている。
 『トータル・リコール』
『マイノリティ・リポート』
『高い城の男』
などは
小説だけでなく映画やドラマでも
現在観る事が出来るが、
世界で最も知られている彼の作品は
1968年に発表された
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
かも知れない。
リドリー・スコット監督作品
ブレードランナー』の原作としてである。 
 この映画は彼がこの世を去ってから3カ月後の
82年6月に全米で公開され、
その1週間後に日本公開されている。 
 独占企業の暴走、独裁政治、全体主義…。
彼の作品には、
よくディストピア的な世界が登場する。
発表当初は
どれも荒唐無稽な話に思われていたが、
徐々に時代が作品に追いついて来た感がある。