昭和の風林史(昭和五七年一月六日掲載分)
この相場は来週爆発する
◇…今の気迷い場面で買い玉を仕込んでおけば
来週からのテンポの速い上昇が楽しめる。
◇…小豆相場は暮の24日の急落や、
大発会のストンと落ちる動きを見ていると、
中間反騰説派(この相場は中間反騰に過ぎず、
いずれは三万円割れに向かう下げがくる
と考えている人達)は、
四千円の抵抗は厚いという自信を強くするのである。
◇…逆に、この相場は大底を打って出直り過程にある
とするWボトム後の新トレンドに乗った相場と
見る側にとっては、トレンドは破れていないから、
三千円割れは買い場と見る。
◇…本誌新年号(四日付け)新春の小豆相場考(14頁)の
グラフを見ていただければ判りやすいが、
去年の春の相場も二千円、
あるいは三千円近い押しを入れているが、
上昇トレンドは破られていなかった。
◇…今の相場もトレンドの角度は
昨年と同じで、上げ過ぎれば
千円、千五百円の押しが入る。
◇…弱気はこの押しを売り込む。
そこには需給観もあるだろうが
昨年10月、11月のWボトムを
大底と見ていない相場観が底流にある。
◇…強気側は輸入商社の定期離れや、
輸入業務の配慮されたビジネス化を注目している。
それと、えたいの知れない投機資金の流入である。
これは株式市場にも見られた現象である。
◇…相場としては昨年も五日新甫発会後の次の日
急落したが12日の月曜から上昇リズムに乗った如く、
週明け11日からテンポの速い上げ足に移ると思う。
◇…四千円抜けからの相場は、
やはり踏み上げである。
罫線でいうと三万五千三百円の窓埋めである。
疑心暗鬼の人気の時だけに今の押しは買って大丈夫。
●編集部註
舞台は、サラリと昭和54年(1979年)から
昭和57年(1982年)に移っている。
金融市場にとって79年から80年にかけては、
ボルカーショックや金の急騰など狂乱の時代であった。
この狂乱と、後のバブルの狂乱の狭間にある時代、
それが1982年であると言える。
歴史には、よく「〇〇以前」や「〇〇以後」
というエポックメーキング的な時代が存在する。
文化史の観点で1982年は重要。
何故なら映画『ブレードランナー』が公開されたからだ。
ブレードランナー以前に描かれたSF映画の未来は、
例えるなら鉄腕アトムのような世界であった。
それがこの作品以降はガラリと変わる。
この作品は都市計画にも影響を与えた。
町山智浩著「ブレードランナーの未来世紀」では、
渋谷のスクランブル交差点周辺の街並みが、
この作品の公開以降、
徐々にブレードランナーの世界観に
よく似た情景になっている点を指摘している。