証券ビュー

森羅万象

恵比寿天井用心 押しは買い場 (2018.01.12)

昭和の風林史(昭和五七年一月五日掲載分) 
一月相場の基調は緩まん
◇…一月相場は高いとみる。
輸入成約などで押したところは買い場になるだろう。
◇…あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
久保田万太郎に
『一月や日のよくあたる家ばかり』
というのがあります。
読者の皆様がたと商取業界に今年は、
日のよくあたる年であって欲しいと願います。
◇…さて、小豆相場の強弱ですが、
昨年暮、いろいろな方から言われました。
『風林は風林らしく書いてほしい』と。
『曲がってもよい』。
そのように多くの人に言われました。
◇…考えてみますと自分自身は
『大当たりしなくてもよいから
大曲がりだけはせんように』―と、
そのような考えがどこかにありました。
馬齢を加えて消極的になったのかもしれません。
そういうところを読者は見抜いて、
『風林は代筆と違うか?』、
『風林は体調をこわしていないか?』
とうちの記者に問う人があったのだと思います。
◇…それを聞いて、
読者は、なにを求めておられるかがよく判るのです。
新年は、昔の風林に戻って、
読者のご期待に添いたいと考えています。
◇…新春の相場については、
強弱がわかれたまま越年したから、
昨年暮の続きみたいなものである。
◇…弱気は、あくまでも弱い。
それはそれで信念があっての弱気である。
◇…筆者は、
新しい上昇トレンドに乗っていると思う。
だから強気で三万六千円(先限)があるとみる。
◇…輸入成約などで
時に千円、千五百円の押しが入っても、
基調は上向きだと判断し、
とりあえず三万五千円。
えびす天井を用心したり節分天井を警戒したり。
だが押しは買い場だと思っている。
●編集部註
 この文章を読んで、
相場記者の大先輩と呑んだ時の事を思い出した。
 正確な分析記事を書く事が、
読者のお役に立てると思っている私を、
先輩はやさしくたしなめた。
必ずしも当たる当たらないは重要ではないのだと。
 「理想的な相場記事は、
やっぱり風林火山なんだよ。
君も営業マンだったんだろ? 
朝礼の後を思い出してみなよ。
みんな投資日報をネタに
あれこれと話をしてたろ?」
 確かにそうだ。
曲がっている時の文章も、
当たっている時の文章も、
平等に話のネタになっていた。 
 ボヤキが話題になるのは、
高座での居眠りが話題になる古今亭志ん生と
同じく芸の一つである。
 相場は水ものである。 
 ゆく川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶ泡沫はかつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし
―。
 それは、
相場の流れに翻弄される人間模様を
描くルポタージュである。