証券ビュー

森羅万象

「炭屑にいやしからざる木の葉哉」 其角 (2017.12.14)

昭和の風林史(昭和五四年十二月八日掲載分)
輸入商品が御難 しばらく円高傾向
高値に買われた輸入商品は、
円高傾向で売られる段階。
反対に、商いは薄いが小豆が底堅い。
「炭屑にいやしからざる木の葉かな 其角」 
円は二百三十円あたりまで反発するであろう―
と外国為替専門筋は予測していた。
円高は、輸入商品相場を突き崩す。
精糖、ゴム、輸入大豆が特に敏感である。
精糖は先限引き継ぎ線で
上げ幅の三分の一強を押したあと、
七円替を反発したが、円高の直撃と海外安。
そして実需不振を映して
二百二十円(大阪先限)の壁は厚かった。
ゴムも、ちょっときつい下げである。
海外情勢次第とは言うものの、
上昇したあとの高なぐれで、
相場の日柄がかなりかかっているだけに、
円高ショックで下値が深いかもしれない。
山高ければ谷深しである。
インポーターは先限を、
確信を持ったような売りっぷりである。
ゴムの売りが
師走相場の目玉商品のような気がする。
輸入大豆も、大阪先限五千三百円は、
やはり難所だった。
九月の安いところから(先限引き継ぎで)
九百八十円替を上げている。
これも日柄経過による買い疲れが見えた。
大阪当限は安値四千百五十円から
新値足18本で千三十円幅を上げている。
新値18本、日柄64本で、
12月新ポ3日が天井。
千円上げに対して、基調が崩れた以上は、
上げ幅の半値五百円安も充分考えられる。
ともあれ、しばらく円高が続きそうだし、
シカゴも戻り一杯の相場つきである。
いまや、まったく商いが
寂れてしまった小豆であるが、
他商品とは反対に
どことなくこの小豆は底堅い。
消費不振、産地の売りヘッジなどあるため、
上値を大きく見るわけにいかない。
しかし安い値が付けば買ってもよいと思う。
一日の出来高合計が
千枚を割る(大穀5、6日)昨今である。
それも時代の流れであろうが、
穀取関係者は輸大が出来ているから、
小豆不人気を、
それほど深刻に考えないのかもしれないが、
小豆市場不振の原因などを検討し、
手亡の市場みたいにならないよう
努力して欲しい。
年内余日、暖かい年の暮である。
商売によっては、この暖冬が、
なんとも困ったところもある。
庶民生活にとっては
オーバーコートも不安だし、
灯油の消費も少なくて済むから
有り難いわけだが、
こと商売ともなれば、
立場、立場で随分違う。
それがお天気の事だけに
神に祈るしかないようだ。
●編集部註
 私事ながら、
僅かながらこの時分の記憶が残っている。
007ムーンレイカーが公開されていた。
ジェームス・ボンドがロジャー・ムーアの頃だ。