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森羅万象

「鍋焼の屋台に細き煙出し」 ひさし (2017.11.30)

昭和の風林史(昭和五四年十一月二四日掲載分)
売り過ぎる輸大 だけに相場は上か
輸大は大衆が売り過ぎるから下がるまい。
年末に向け、
輸大強気のロマンに賭けてみたい。
「鍋焼の屋台に細き煙出し ひさし」
乾繭市場の納会が
前橋前日比五百四十六円高。
豊橋二百五十七円高。
乾繭の倍率は三百倍だから、
小豆相場でいうと四千丁以上を
納会一本で吹き上げた事になる。
これが、もし小豆の市場だったら、
お役所は、黙っていないかもしれない。
乾繭の場合、
どういう事になるのか知らないが、
行政当局の出方を、
さまざまな思いで見守るところ。
相揚の事だから仕方がないじゃないか―
という事なら、それはそれでよい。
むしろそのほうが、自然な姿である。
いや、乾繭はよいが小豆は、あかん―
というのだったら、
これは行政に一貫性がない。
輸入大豆相場は、大衆が売ってくるという。
上げ相場を取って、ドテン売りになった。
これは、相場でいう『利食い余し』である。
買っていた玉を利食い売りして
更に売るから利食い余し。

これは、いけない事だと言う。
利食いしたあとは、休む。
それが相場の作法だが、
抜く手も見せずドテン売りは、
結果がよくないとされている。
輸大は、売りぐせがついてしまったから、
売っておけば、
なんとかなるという考えが判らぬでもないが、
大衆が、あまりにも売り過ぎるようだと、
内部要因面から突き上げを食う。
強気は、東京、名古屋五千八百円から
六千円があるだろうという見方。
東京自社玉は、いまもって圧倒的な売り。
大阪自社玉買いに比べて、
取引員のポジションに違いがあり過ぎる。
需給予測、商社動向、シカゴ相場、為替と
フレートあるいは中東情勢等を考えれば、
きわめて不確実性ファクターが多過ぎる。
従って、東京圧倒的な自社玉売りが、
キリキリ舞いで宙にふっ飛ぶ可能性なしとしない。
東京六千円―という強気の見方も、
あながち、はったりとも思えない要素が、
多分にあるから、戻り売りでよい
という考えを改めなければならない。
小豆相場は、六月、九月、十一月、
この三ツの安値が底値圏である事は判る。
九月底、十一月底は過去にもあった。
おしむらくは、人気が遠のいている。
出来高は昔日の比ではない。
下値を固める段階だ。
値のほうは、とどいている感じで、
ここからの弱気は、あこぎだ。
しかし年末にかけては
輸大強気のロマンが御正解か。
●編集部註
 その昔、
糸が日本経済の屋台骨を支えていた。
 現在「かんけん」と打ち込んで
変換キーを押すと漢検と官憲が出て来る。
 乾繭、は出てこない。