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森羅万象

売らず買わず判らぬ時は休むも相場 (2017.09.20)

昭和の風林史(昭和五四年九月十二日掲載分) 
売らず買わず
休むも相場という
◇…ぜひ売ったり、買ったり
しなければならないわけのものでもない。
判らぬ時は休むも相場。
「壁に日々筑波の晴や懸煙草 駒村」
◇…強気でもなし、弱気でもなし、
安いところは買う、高ければ売る。
そういった感じの小豆相場になっている。
◇…押してくると、五千五百円は無理だな―という。
強張ると、あるいは六千円抜けも―となる。
定見がない証拠である。
◇…買って五百丁、売って七百丁。
そこから手数料を引くと、
気を揉んだ割りに利幅は少ない。
◇…従って、仕掛けに積極性がない。
◇…商品相場の投機は
意外性があればこそ人気も集まる。
今の小豆の場合、意外性は少ない。
二万六千円近くは
ホクレンや雑豆輸入商社がヘッジしてくる。
従ってそれ以上の値段は
余程なにかの意外性がないことには付かない。
六千円は、誰でも売ろうという場合、
その二、三百円手前で相場は止まるものである。
これが、六千円を付けるようなら、
その相場は六千円で止まらず、もっと上にいく。
◇…下から陽線三本で、かち上げて、
上から陰線一本食い込んでの利食い線。
これを小さく切り返したが、
ガツンと長陰線で叩き込まれた。
となると、これが押し目か、戻り一杯か?となる。
◇…当初千円ぐらいの戻りは
あってもおかしくないという市場人気だった。
這えば立て、立てば歩めの親心というが、
千円戻せば千五百円。
千五百円高なら二千丁となるのが
相場する人の欲心である。
◇…秋も、ようやくたけなわ。
例年だと彼岸過ぎる頃まで残暑が厳しい。
彼岸のお中日にお墓参りに行って、
法師蝉を聞くのであるが、
今年は法師蝉の鳴き止むのも心なしか早いようだ。
寒さに向かうのが例年より早ければ、
小豆の需要もそれだけ増大しそうなものだと思うが、
加糖アンという伏兵に用心しなければなるまい。
◇…売り場を待つ間に売り場を失したかもしれないが、
まあ気長に見ておれば判りやすいところも出てこよう。
◇…商品の先物相場というものは、
これが投機の場合、物があって売るわけでないし、
ぜひ売らねばならぬというわけでもない。
逆に買わなければ困るというものでもない。
値が気にいらねば、売らず、買わずでもよいのである。
●編集部註
インベーダーゲームが大流行したのはこの年で、
今思えばコンピューターのような「精密電子機器」が
市井に広まる転換点であった。
良くも悪くも、
技術の発達とともに相場が迅速になり、
鷹揚に動き難くなったと言える。