昭和の風林史(昭和五四年九月十日掲載分)
線型買い示す だが大勢はまた別
◇…小豆の線型は買いになっている。
短期的には買いでも面白いが、
大勢となればまた別だ。
「中腰の唐黍焼に昔あり 桂郎」
◇…小豆相場に対しての人気は弱い。
しかし相場は強くなっている。
線型も買いを示している。
この強いのは、静岡筋などの筋ものが
先限を強気しているからだと受け取っている。
◇…目下のところ短期勝負なら
相場の意外性を期待出来る市場環境とも言える。
◇…それは
(1)秋の需要期で値の安い(北海道産に比較して)
輸入小豆の売れ行きがよい事。
(2)輸入物の端境期で、商社の売り物も出ない。
(3)相場内部要因としては人気が弱くなり、
先限など安値を売り込んだ(自社玉は買いになった)。
(4)ケイ線が買いを示し、
また東西の取組みが漸増傾向である。
(5)鳴りをひそめていた静岡筋が強気姿勢になった。
◇…だいたいそのようなところである。
◇…相場地合や人気動向からいえば、
次のような現象に気くばりしなければなるまい。
(1)戻り売り人気が強いのに相場地合が締っていく。
(2)取組みが漸増する。
(3)産地の刈り入れ進行
(早生種は、すでに収穫が始まっている。
例年より10日ほど早い。
これは早生種のウエイトが
六割を占める帯広地区だけに、
早霜がくるのが早いか、
収穫が早いかの競争になる)。
(4)中国小豆の北京商談の推移、台湾小豆の動向。
(5)そしてホクレン等のヘッジと、
取引員自社玉のポジション動向。
◇…思うのであるが、
この先、まだ強張るとしても短期決戦であろう。
仕手筋が積極的に煽りをかければ、
二万六千円の相場は付くかもしれない。
◇…それからあとは、産地の売りや、
輸入商社の先回りしたヘッジが激しくなるだろう。
◇…北海道の小豆生産者にとっても、
出来秋の高値は非常に喜ばしい事で、
一応は売り繋ぎをかけよう。
◇…大局的な需給事情は
本年の収穫が一応九十五万俵として、
言われるように繰越在庫が
五十万俵ないし五十五万俵なら、
あとのファクターは輸入事情という事になる。
◇…そのような事から、
上値を二万五千五百円あたりと見ていて、
仮りに踏み上げや、
仕手策動で二万六千円の相場になっても、
大勢としては売り方針が多分御正解だと思う。
◇…要するに目先強ければ、
売り場を見つけるつもりでよいと思う。
●編集部註
大局的な方向性を把握した上で、
ちょっとした短期反転場面があると思い、
軽い感じで逆ポジションを取るも
これが大曲がりし、
切るに切れずに因果玉を生み出してしまう。