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森羅万象

「裂けそめし種の力や椿の実」 季発 (2017.09.07)

昭和の風林史(昭和五四年九月三日掲載分)
灰色の九月へ 待つ間に値崩れか
◇…天候相場は不発に終って、これからは需給相場になる。
雑豆輸入商社とホクレン主導の相場だ。
「裂けそめし種の力や椿の実 季発」
◇…小豆の作柄は十勝管内で反当り
二・七三俵(東京商品取引員調査部会予想)ということで、
平年作を上回っている。
◇…当初、作柄が悪いという事で
二万七千六百六十円(大阪)を買った。
しかし、作柄が回復したため、三千丁の値崩れになった。
◇…去年や、一昨年の場合、
買い方に大きな仕手が介在していたから、
収穫の見通しが(去年大豊作。一昨年平年作を上回る)
判然とする時点では、暴落に次ぐ暴落で、
仕手崩れの、ひどい下げかたをした。
◇…今年の場合、
仕手というほどの買い方はいなかっただけに、
大衆買いの整理ぐらいで、
その幅三千丁の下げで止まっている。
◇…これで、年に一回の
小豆相場のお祭りみたいな天候相場は終った。
◇…これからは、輸入小豆の材料に関心が移る。
北京商談。次期外貨ワク秋の交易会。
そして台湾小豆の作付けなど。
◇…それと、秋の需要期に向う。
末端の売れ行きも涼しくなるにつれて活発になる。
しかし、小豆の現物がよく売れるといっても、
相場を大きく押し上げるようなことは、
めったにない。
◇…相場は、仮需という思惑が、
理性を失うほど強烈に入らない以上、
あくまでもソロバンを重視して、
突拍子もない値段は付かないものだ。
◇…これからは、どちらかといえば、
需給相場であるから、値の動き方は地味になる。
そして、輸入事情が価格変動の主役になるから、
どうしても雑豆輸入商社が市場をリードする。
ホクレンも、収穫の見通しを?めば、
これまた巨大な売り仕手化する。
◇…このような段階に入ると、
相場は、なにかの変化で一時的に高くなっても
強張るのは、長続きしない。
要するに、高ければ売るしかない相場になる。
◇…オイルの問題や換物思想や、
インフレ、あるいは為替という問題も、
ほぼ織り込んで、今さら―の感が強い。
せいぜい、相場内部要因ぐらいであろう。
市場人気が完全に弱気になりきって
安値を売り込むという取組みになれば、
ちょっとした材料で反発するが、
それも瞬間的なものである。
◇…暑かった夏は短かった小豆で、
これからは、長い売りの時代にはいる。
新ポから崩れそうだ。
●編集部註
 この日の夜、6代目三遊亭圓生が急死した。
その数時間後に上野動物園のパンダも死んだ。
 4日の全国紙朝刊では1面でパンダ死亡、
3面で圓生死去の記事が掲載され
「同じ死でもパンダが1面で、昭和の名人が3面とは何事か」
と憤慨する人がいたという。