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森羅万象

恰好の押し目政変や革命もまた天災 (2017.08.04)

昭和の風林史(昭和五四年八月一日掲載分) 
中盤戦に突入 強気強気の本道
売りたい病気にかからぬよう御用心。
今月の買い玉はアンドロメダ行きのパスポートである。
「日盛や人の気もなく二尊院 泊月」 
ひと息入れる場所で、産地天候が持ち直し、
月末恰好の押し目となった。
S高で飛んだ窓を埋めておけば、
足もとが確りできて、
八月相場が戦いやすくなる。
気象予報では、
八月に冷めたい空気が流れ込みやすいそうである。
開花期の低温、日照不足は、
その後の作柄に大きな影響をもたらす。
そして、台風シーズン。
そのあと秋が早いというコースで、少しも気をゆるせない。
また、立枯病など、病虫害の不安も出ている。
お天気だとか、作柄というものは、
ひとつコジレだすと、どこまでも、おかしな具合になる。
うまくいく時は、去年のように、
なにもかもうまくはこぶものである。
われわれは、その年のツキが、売り方にまわっているか、
買い方についているかを毎年注意深く見守る。
低温が休みの日で、
休日明け天気が持ち直すという売り方に味方する年もあれば、
持って回わったように、
ことごとく売り方にツキがない年もある。
小豆市場は、ここ三、五年というもの、
昔のような天候相場を忘れてしまった。
天候よりも仕手筋の動きに関心が集まった。
北海道小豆よりも輸入小豆のウエイトが高かった。
従って、
冷害・凶作相場の怖さを知らないセールスや投機家も多い。
そこのところが今年の小豆の盲点になると思う。
「腐っても赤ダイヤ」と書いたところ、
実感があったせいか、この言葉が、はやっている。
さらに言えば、
作付面積が三万四千㌶(道農務部五月一日現在)と、
少ない事が相場の急所である。
昭和48年以来六年続いて道農務部の数字よりも
農林省(七月一日現在)の作付け予想数字が少ないことから、
今年も三万四千㌶を下回わるだろうと予測されている。
これが、反収二俵を割るようだと、
赤いダイヤの輝きが往年の栄光を取り戻すことであろう。
アンドロメダ行き三万六千円。
そのコースを考えても、なんら不自然でないのは、
人気が冷静である事。否、警戒感が強い。
そして取組みは、まだまだ安値取組みである。
日柄の面からでも上昇の初期を終り、
中盤戦にはいるところだ。ともあれ、
心に隙をつくらず、売りたい病気にかからぬよう、
心するところである。
●編集部註
 天災は忘れた頃にやって来る。
政変や革命もまた天災と言えよう。
 この年イラクでサダム・フセインが大統領になったが、
イランでは革命が起こった。
この天災が自然災害と違うのは、燻りに燻ぶった火が、
ある時一気に爆発する事。この時の小豆罫線と似ている。