「たまさかの人なつかしや一夜鮮」 梅東 (2017.08.02)
昭和の風林史(昭和五四年七月二十八日掲載分)
“夢中戦艦栗田” アンドロメダ行き
相場の性格は今までと違うものになった。
アニーよ銃をとれ、相場はこれからである。
「たまさかの人なつかしや一夜鮮 梅東」
小豆市場に栗田艦隊出動の報伝わるや
相場奔騰、売り方狼狽す。
「アンドロメダ行き宇宙戦艦・栗田」―
とでも言うべきか。
いや三万六千円行き夢中戦艦・栗田かもしれない。
彼は必ず、小豆市場に出撃してくると思っていた。
本年前半の戦績は、残念ながら牛追いである。
失地を挽回すべき商品は今や小豆しかない。
まして彼の小豆相場に対する思いは?悲願〟
でさえある。一度でもよい。小豆で勝利したい。
彼の今度の小豆投機は成功すると思う。
ただし、市場のルールを守り、
過剰投機にならなければ―だ。
『風林が強気方針だから、今度は幾ら栗田が、
あばれても、去年の後半のように、
仕手排除、仕手批判はするまい』―
という人もいるが、相場の強弱と、
市場ルールの厳守は別である。
行き過ぎたルール破りには、
強弱をはなれて攻撃を加える。
〝夢中戦艦・栗田〟の出現で、
小豆相場の波動は今までの流れと、
まったく性質を異にするだろう。
二万五千円台から六千円台で
玉を仕込むという事は、
少なくとも一万円幅。
即ち、アンドロメダは三万六千円。
そこのところに目印の旗を立てなければなるまい。
一方、弱気の病気、
売りたい病気にかかっている人は、
万七千円、八千円抜けから踏みにはいるだろう。
この病気にかかると申し分ない押し目が、
天井に見えるから、どうしようもない。
毎節が天井に見えるあいだは、やまいコウコウである。
伸び伸びした週間棒と北海道先限の粋な日足線を見ると、
この相場は二万七千円は買い切って、
あとはどこで押し目を入れるかという、
買い方にとっては非常に楽な戦いになる。
あと、売り方が、どのあたりで壮烈に憤死するか。
売り玉弔の遠いラッパを聞くまでは、前進あるのみだ。
“理くつは、あとから貨車でくる”。
八月に入っての産地天候は、
冷害凶作を決定的なものとするだろう。
土用に入って、真夏日というものを見たことがない。
アニーよ銃をとれ、まだ間に合うのだ。
なぜなら、急伸しているが熱狂していない。
こういう相場が一番怖い。
八月には三万円相場の展開を見るだろう。
値頃観無用の時である。
●編集部註
当たりやにつけ、曲がりやに向かえは相場の常道である。
ましてや小豆相場には罫線殺し と呼ばれる逆張り筋もいた。