証券ビュー

森羅万象

「坂ひとつ間違へ梅雨の狸穴に」 青邨 (2017.07.07)

昭和の風林史(昭和五四年六月三〇日掲載分) 
卒倒した輸大 投げ玉はまらない
輸大相場は失神した。先に小豆が気絶し、
今輸大が大暴落。
業界は多事多難。投げ玉はまらず。
「坂ひとつ間違へ梅雨の狸穴に 青邨」 
輸入大豆市場は、シカゴの相場が卒倒したため気絶した。
東京市場は寄り付き一万枚にのぼる売り玉がS安で、
はまらない。
シカゴは、このパニックが落ち着いたとして
もジリ貧だろう―と、専門筋は悲観視している。
要するに買い過ぎたという事である。
山高ければ谷深しを見る思いだ。
輸大市場は買い方大手の動向が注目されている。
市場は、仕手に対してかなり寛大になっていた。
それは、仕手が介在しない市場は、
商いに活気が出ない。
ある程度の仕手活動は黙認しなければ
取引員の経営も苦しくなる。
役所も取引所も、
その事をある程度配慮していたのかもしれない。
東穀事務局は、
“えらい時に”“えらい相場”を出しよった
―と思っているかもしれない。
輸大の買い玉は、みんな水に漬ってしまった。
それでなお、買い玉の整理が進まない。
買い大手にすれば、市揚で玉がはまらなければ、
売り大手(商社ヘッジ玉)と
解け合いの話に持ち込まなければ、
機関店も、ところによっては負担がきつくなる。
過剰投機抑制という問題が
再びクローズアップされることであろう。
業界は、相場波乱もさる事ながら騒然としている。
オペックの原油値上げのように、
来たるべきものが来ている感じだ。
さて、小豆相場のほうは、
下千丁の値段は、残しているかもしれないが、
だいたい、とどいている。
ある程度の自律反発があってもよい時分だ―
という待ちの姿勢である。
いってみれば今回の小豆は、
インフレ期待買いというか、
原油大幅値上げで
48年当時のような投機買いを連想して、
供給過剰にもかかわらず大衆が買い上げたが、
人気買いよりも実勢悪のほうが、
日柄の経過に伴って表面化した。
人気相場の反動とでも言うべきか。
俵の重味である。
しかし、(1)玉整理が一応終り、
(2)安値取組みが進み、
(3)戻り売り人気が市場を支配すれば、
日柄と値段の面から大底を構成する。
あと、ホクレンが
種々の価絡対策など打ち出すだろうし
作柄のほうも、まだ豊凶が決まったわけでない。
そのようなことから、
大底入れを見守るところでもある。
もう一段安があって下千丁。あるかないかだ。
●編集部註
 解け合い経験者が多い時の相場は
解け合いにはなかなかならない。
 悲観が極まった場面は
往々にして反転ポイントになりやすい。