「チューリップ馬券の屑の舞ふ中に」 赤舟 (2017.05.09)
三軍散じ尽す されどまだ悪し
手亡の悪さが尾を引くのはこれからだ。
小豆も黒い五月だろう。
手亡の戻り売りが判りやすい。
「チューリップ馬券の屑のまふなかに 赤舟」
手亡の取り組み高の推移をグラフにすると
一月の九万枚から二月→三月→四月と
斜め45度の角度でなんと二十二万枚まで
一気阿成にふえ続けピークに達した。
手亡の取り組みが増勢に転じたのは
昨年の十一月新ポからで、当時五万枚。
生糸、ゴムとほぼ変わらぬ数値であった。
その当時の小豆取り組みが十一万枚。
毛糸が二十万枚を誇った。
手亡が小豆の取り組み線とクロスして上抜いたのが
一月発会時分。
すでに下降をたどっていた毛糸の取り組み線を
上抜いたのが三月の中旬である。
手亡のこのような異常な取り組みの推移を見て
いろいろな事が考えられた。
毛糸から手亡に。
小豆から手亡に投機資金が移動したこと。
結局は、動く相場は人気を寄せやすいということである。
相場が続落していくのに取り組みがふえるという現象は、
まさしくミステリーであった。
いま、手亡のミステリーは結末を出そうとしている。
手亡相場はどうなるか。
取り組みは今後徐々にほどけていこう。
その結果は恐ろしい現象を予測させる。
大衆買いが萎縮して、
ピービーンズ七千㌧の圧力が厳然たるものとなる。
六月以降、売り建ては実弾渡しきりの、
ぎっしり実のつまったものばかり。
手亡相場にはペンペン草もはえなくなろう。
四千円→三円円→二千円と大台三ツ替わって千丁戻し。
三千円→二千円→千円と大台三ツ破って、
一万五、七百円どころから小千丁戻し。
その戻りは、売り方が売る。その目標は一万円ライン下り。
手亡相場は、これからも悪いのだ。
小豆に期待をかけようとしている。
しかし、これだけ荒漠とした市場に、
勢いのある相場は誕生しない。
小豆も五月中は一万七千円が頭になろう。
そういう事を言うと、あすという日に望みがなくなるが、
手亡相場の戻りを売る手。
小豆相場の六千五百円以下を拾う姿勢。
あるいは小豆の七千三百円以上を売る方法等がある。
義理も人情も相場には勝てない。人海戦術また悔いあり。
三軍散じ尽して旌旗倒る。嗚呼―。
●編集部注
アッツ島か二百三高地の如き嘆きぶりである。
だが世間は黄金週間。
当節東北では弘前、九州では博多、中四国では広島に
150万人以上の観光客が集まる。
この頃はどうだったのであろうか。
【昭和五十年四月二五日小豆九月限
大阪一万七〇六〇円・九〇円高/
東京一万七〇五〇円・一〇〇円高】