「行き行きてひらりと返す燕かな」子規 (2017.04.10)
昭和の風林史(昭和五十年四月四日掲載分)
踏み踏み相場 手亡のミステリー
手亡のミステリー。
一万三千円乗せからが本格的な相場展開。
四千円抜けもあろう。強気、強気。
「今朝越えた山見て休む日永哉 松舎」
二本ほど原稿を書いて上京していたら
手亡相場が暴走しだした。
方針は、底入れ→強気一貫であったから、
どうという事でもないが、焦点が少し呆けた。
そこでピントを絞って今の相場に焦点を合わせてみよう。
弱気筋の唱えていた乱暴な弱気論の裏側が出た格好だ。
〔乱暴な弱気論〕=ピービーンズを渡す
→受け手がない→相場が潰れる。
山大商事の関口氏の表現をかりると
〝潮の流れが変わった〟という事になる。
潮の流れが変わると、カードの裏側が表になる。
〔乱暴な強気論〕=手亡のミステリー
とサブタイトルをつけてもよい。
大取り組みの潜在エネルギー→
その中の微々たるピービーンズ→
渡すものがあれば受ければよいじゃないか→
ベトナムの避難民救済用の需要も出よう→
ピービーンズ相場が底入れして反騰すれば、
むこうで転売するだろう→
定期の売りヘッジは場勘で攻められよう→
ミシガン地方の天候が崩れている(慢性的洪水)→
北海道も発芽期の降霜予想が出ている→
先高人気なら受け手もふえる。
筆者は一万円棒上げ可能の手亡相場と、
きのうの紙面で書いている。
この原稿は31日の時点で書いた溜置き原稿だが、
そのぐらい雄大な相場構想を持って
対処すべきだと思っている。
〝三川崩れ〟の鬼線は
一万三千円(先限)乗せからが相場と見ておけばよい。
三千円から四千円にふっ飛んで行く可能性もあるし、
時に四千五百円までの鋭角V字返し、
子規の句にあるような
「行き行きてひらりと返す燕かな」。
二千五百丁下げの二千五百丁上げ、
その行程五千丁の大のこぎり相場かもしれない。
ともかく一万三千円以下の値には
紙を張ってなかったものとして考えると
判りやすくなるし、
手亡のケイ線逆さにして二メートル離れて眺めれば、
行くべきところは判然としている。
(なお念の為=手亡一万円棒上げ説は
パニック値一万円がつけば、
そこから一万円高、
即ち予想される十一月限未来の高値二万円を言う)。
一方小豆相場も
六月晩霜という赤い目印の杭を打ち込んだ以上
行け行けだ。
●編集部注
虚仮の一念岩をも通すを地で行く世界である。
虚仮とは「愚か者」の意。
書いている本人に自覚はないが、
当時この逆の見方をしている者達には虚仮にされていよう。
【昭和五十年四月三日小豆九月限
大阪一万七四四〇円・七〇円高/
東京一万七四一〇円・一二〇円高】