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森羅万象

「提げて来し壬生菜の雪を掃ひけり」 冬水 (2017.02.24)

昭和の風林史(昭和五十年二月二二日掲載分)
強さを確認す 買ったまま待て
相場は閑だが手亡など、その地合いは非常に強いものがある。
強気したまま春暖を待つところ。
「提げて来し壬生菜の雪をはらひけり 冬水」
三日ばかり上京していたが
都内のホテルというホテルは受験生のため、いずこも満室。
新幹線も親子づれで満席の状態。
業界では法改正を目前に控え多忙だった。
全商連は全商連好みの泥縄式一般紙記者会見。
参集いただいた方々にお昼を御馳走する予定だったが、
そういう接待があるのなら出席しないという申し入れがあり、
事務局日ごろの怠慢が露呈された。
全協連のほうは例の一〇〇%共同補償の各論についての会議。
新法では一〇〇%完全分離保管を選ぶか、共同補償を選ぶか、
取引員は選択の自由があるように思えるが、
主務省側や、全協連首脳陣は
全取引員揃って共同補償のほうで行って欲しい。
いや、当社は一〇〇%分離保管で行きたい―
という取引員がかなりあるため、
纏め役の全協連当局は難儀である。
雪の降る21日は
〝繊流研〟という繊維取引員協会の政治団体みたいな会が
代議士先生を集めての朝食会。
法改正には、なにとぞよろしく。
その見返りに総選挙も近いと聞く。
わが業界の全協連には共同事業の予算があって、
選挙資金もここから出せる―という高度な話。
そうかと思えば来月の連休に
韓国の公認賭博場の開設何周年記念かで、
わが商品業界の各社成績優秀社員およそ二百名の
団体を編成して乗り込もうという計画も進んでいると聞く。
まさか全協連の共同事業の一環ではあるまいが、
業界では、いや読売新聞の広告の件もあるので、
全協連が予算を出すかもしれないね、
と良識を疑うような冗談も聞かれ、それならいっその事、
共同補償方式でやればいいじゃないかと話が飛躍する。
それやこれや、あるいはアウトロー・セールスの移動や、
無登録セールスの白昼堂々の跋コなど、
業界首脳者のタガがゆるむと
一夜にして無政府状態になるなど、
憂慮すべき事どもである。
その間、相場のほうは時間調整中。
大勢としては小豆、手亡ともに買い方針であるし、
手亡などその地合いは非常に強いものがあって、
まさしく一触即発。
相場が閑なあいだは業界の事など書いて待とう。
●編集部註
 成績優秀セールスが、
ご褒美で賭博場のある外国へ旅行するという風習は、
平成でも残っていた。
 古今東西を問わず、
タガがゆるむと何処も同じという事は
映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観ていると判る。
【昭和五十年二月二一日小豆七月限
大阪一万六八五〇円・一五〇円安/
東京一万六九九〇円・一五〇円安】