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森羅万象

ぶっ飛ぶ相場 火つけば二千丁 (2017.02.21)

昭和の風林史(昭和五十年二月十七日掲載分)
ぶっ飛ぶ相場 火つけば二千丁
火がつけば手亡がぶっ飛んでしまう。
このでかい取り組みは火山大爆発のエネルギーである。
「暮れそめてにはかに暮れぬ梅林 草城」
定期市場が落ち着けば、末端の庭はガラあきだけに
乾いた海綿が水を吸うが如く
安い古品小豆が消えていくはずだ。
『定期を買って、すぐ早受けして、
その日のうちに現物を運んだという現象が見られる。
だいたい二、三、四のこの三カ月の需要は
年間需要を一〇〇として27~30と見ればよいでしょう』
と山大商事の関口営業部長は、
いまに見ておれ売れるんだから―と希望を捨てていない。
二次問屋にしても店頭に荷物がない。
定期相場を見ながら買おう、買おうの毎日だが、
少しまて、もう一日まてで、
定期の安いうちは手が出ないけれど、
すでに定期前二本は大底圏。
止まったと見れば買い手が殺到する。
春が来たかと浮かれてみれば二千丁崩しの猛吹雪。
市場人気は、すくんでしまったが、
先二本厳然たる姿を眺めれば、絶望することもない。
さて、お隣の手亡相場のほうは依然として取組が太い。
思うのであるが、穀物師団の尖兵は身の軽い手亡連隊からである。
作戦要務令・戦闘指揮。
戦闘にあり攻防何れに出づべきやは
主として任務に基き決すべきものなりと雖も、
攻撃は敵の戦闘力を破摧し之を圧倒残滅する為、
唯一の手段なるを以って状況真に止むを得ざる場合の外
常に攻撃を決行すべし。

手亡の49年産は10月二千俵。11月五千八百俵。12月六千俵。
1月六千俵の約二万俵が北海道を離れた。
生産高四十八万八千俵。
出回り四十万俵として三十八万俵の供給余力だが
九月末持ち越し十万俵は常識だから、
今後二十八万俵の供給と見ればよい。
高くなればピービーンズの輸入圧迫が心配されるが
目下米国五大湖は凍結していて
四月中旬以降でなければ運行出来ず、
他の道をえらべば一俵あたり千五百円以上もコスト高になる。
火がつくなら手亡だ。
手亡のケイ線逆さに立てて人気寄せれば二千丁高よ。
万里の長城で小便すれば―というあれである。
ぶっ飛んでから、
たまげてみても六日の菖蒲、十日の菊で、あとの祭り。
●編集部註
 筆が踊っている。ノリノリと言っても良い。
 しかし、これは相場師としては危険信号である。
 当っているうちは良いのだが、
一度躓くと、このノリノリが、
全て裏目裏目に出る事がある。
 と、当の本人が後に相場格言に関する著書の中で書いている。
【昭和五十年二月十四日小豆七月限
大阪一万七一六〇円・二〇円高/
東京一万七一六〇円・変わらず】