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森羅万象

「魚の氷に上るや天下春の風」 師竹 (2017.02.20)

昭和の風林史(昭和五十年二月十四日掲載分)
前二本大底圏 先二本厳然たり
前二本が大底を打ってしまうと、
小豆相場は小豆相場は様変わりして先二本が、
勢いを見せよう。
「魚の氷に上るや天下春の風 師竹」
古品怖いの小豆相場である。
二月限は一月13日の戻り頭から二千円幅を暴落した。
48年産の小豆供用が打ち切られる三月限も
二千円幅の棒下げだ。
当先のサヤ三千六百五十円。典型的なサヤすべり。
前二本と先二本とは全く別な相場になった。
先限は天候一本に賭けられ、
同時に〝見え見え〟の作付け面積減反が
相場の支柱になっている。
需給相場の二、三月限。天災期限月の六、七月限。
限月の性格が違うように
投機家の投機態度も区別しなければならない。
受け手難といわれる二、三月限を眺めて前途を悲観するか、
その割りに下げない先限を見て自信を持つかのところだ。
ここで小豆のクロウト筋の見方として、
悪い悪いの二、三月限でも、
今の水準は判然とした底値である。
そして三月限の納会は現物を受けておけば、
必ずこれは利になる―と。
大衆筋は先限の買い玉維持、悪目買い下がりの態度で、
期近日本が全般市況を軟化させているいまのうちに
投機限月の七月限を仕込んでおこうとする。
筆者は、今年は小豆相場で億の金を掴む年だと信じている。
よくこの業界では小豆と米価の比較がなされるが、
昭和39年の生産者米価が五千九百八十五円。
これを指数一〇〇として十年後の
昭和49年の米価(実質)一万四千百五十六円は
指数二三七である。
では昭和39年の小豆(大阪)十一月限新ポ八千六百二十円を
指数一〇〇とした場合、
十年後の昭和49年小豆十一月限新ポ一万八千九十円は
指数二一〇でしかない。
いまの小豆先限価格だとその指数は一九八。
いかに米価と比較して小豆は安いかが判るのである。
経済の原則で、
米より安い小豆は生産者に生産意欲をもたらさない。
今年の大幅減反。そして来年は、
さらに減反になるであろう小豆を、
異常天候という道づれと同行二人。
チャンスを常に狙って見逃さない投機家は、
またとない機会といえよう。
在庫が豊富なればこそ、
市場の維持に安心がもたれ金融のゆるみに伴って
思惑資金が小豆に集中するのである。
悪役の前二本が大底を打てば、物の価値がまた見直されよう。
●編集部注
 穀物相場、特に生産地市場では、
投機家だけでなく生産者も成功する場面がなければ衰退する。
 実際、これは国内小豆市場が衰退した要因のひとつであったと見る。
【昭和五十年二月十三日小豆七月限
大阪一万七一四〇円・二〇円安/
東京一万七一六〇円・三〇円安】