証券ビュー

森羅万象

新値抜けてこそ火柱が立つ これからが相場 (2017.02.06)

昭和の風林史(昭和五十年二月一日掲載分) 
底値圏脱出! これからが相場
政府の不況対策本格化。
大きな思惑が穀物市場を包み始めた。
手亡に火柱が立ち、小豆も燃える。
こんどは売り方が唖然とする番である。
人気が燃え、投機の歯車が回転し始めたと見るや、
早くも年初来の高値奪回を目指す姿だ。
手亡の線型は「逆三尊」の型、
逆さにすると三尊型で
ケイ線の教科書に出てくるような模範的(?)な暴落暗示線となる。
安値圏での逆三尊型はもとより暴騰を示唆。
新値抜けて火柱が立つ。
七四年産ピービーンズは良質という。
豊作とあれば不思議のないことで、
格差二千五百円引きの実質九千五百円どころのピーならサヤ取りよし、
案外実需向けに、すんなりと捌けるかもしれない。
かつての手垢に染まったピービーンズが脳裏に焼き付いており、
食わず嫌い―というわけか。
ところで、下期の雑豆輸入ワクの発表は目前に迫っている。
いろいろと言われるが、結局、落ち着くところは
「いんげんワクは七〇〇万㌦強」の常識的な線になるようだ。
頭の痛いのが輸入商社、一三ドル台(百ポンドあたり)という安値で
追契の好機を逸し、止めをさしたつもりのピー渡しで、
反対に足元を見すかされたのだから、思惑はずれもよいところ。
なあに国内定期が高くなればまた買い付けるサ―というつもりだろうが、
同じ手を二度、三度くうのは余程の頓馬野郎と決まっている。
生き馬の目を抜くのが相場の社会である。
今度、追契のニュースがあれば下げるどころか、暴騰の引き金になろう。
人気の回復といえば、穀物に限らず、他の商品は俄かに明るいムードだ。
大蔵省首脳の政策転換の意思表示を好感したのだろうが、
驚くべき敏感さである。
政府が不況対策に本腰を入れはじめれば、商品市況はどうなるか。
これは言わずとも明らかであろう。
流動性のある投機資金が活躍するのはこれからである。
大きな思惑が穀物市場を包み、熱狂を呈するのも遠くはない。
手亡が尖兵なら、小豆は悠々たる大河の流れである。
ゆったりと、それでいて、なに人といえども流れを妨げることはできない。
減反、天候不安を材料にするのは早すぎるという。
そんな人気だからこそこんな安値で買い仕込めるのである。
小豆は途方もない大相場に発展しよう。
●編集部注
残念ながら、まだ保合いのトンネルは続く。
予測通り、上昇の火柱は立ち上がる。
しかし、それは黄金週間以降だ。
それまでは一万七〇〇〇円を挟んだ攻防が続く。
【昭和五十年一月三一日小豆六月限
大阪一万七二九〇円・一〇〇円高/
東京一万七三二〇円・変わらず】