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森羅万象

「寒垢離や仰げば那智の滝高く」 五州 (2017.01.18)

昭和の風林史(昭和五十年一月十四日掲載分) 
安心買い地点 爆進奔騰の姿だ
警戒人気が、こんなに強ければ、
小豆も手亡もこれからが奔騰だ。
むしろ安心買いの相場である。
「寒垢離や仰げば那智の滝高く 五州」 
年頭に注目される〝帯広席上商談会〟は低調であった。
昨年は二千八百トン、約五億二千万円の商いが成立したが
本年は千百五十トン、二億八千万円の成約だった。
成約量は小豆五百二十五トン。
二、三月積み一万五千五百円~六百円。
手亡四百六十トン。同一万三千四百円~四千円。
大正金時七十トン。同一万八千三百円~五百円であった。
週明けの相場は強い地合いであるが、甚だ警戒的である。
悪い癖で、ワッと湧いたところなら、
分別なしに飛びつき買いもするが、
市場が冷静になると警戒気分のほうが強くなる。
小豆も手亡も、警戒人気が、
こんなに強ければ値段はまだ上である。
昨年の暮れの18日に大底を入れた小豆相場だ。
18日のその相場は夜放れ安しての陽線引け。
いうなら大きな放れ星である。瞬間的な安値であった。
従って大阪五月限で六千十円の安値を付けたが
実質的には六千二百円どころが出来高の面から見ての底値で、
今の水準は、さほど騰げた値段ではない。
にもかかわらず警戒が非常に厳重なのは、
これは全般の人気がまだまだ弱いからである。
筆者は思う。相場はこれからじゃないか。
あつものにこりて、なますを吹いている図である。
今時分から石橋を叩いて渡ろうとしなかったら、
相場なんか張るのをやめたほうがよい。
小豆先限一万七千四、五百円どころ。
一代棒で千円棒が立つかどうかの地点は利食いが先に出るだろう。
そこで三百円棒を折れて弱気側の売り叩きと新規売り。
しかし、これが気分ほど押さず、相場の持つ意外性で反騰→奔騰、
熱気に包まれての八千円目標というコースが考えられる。
終局的には本年後半大相場展開の小豆であることを
誰もが薄々ながら予知しているが、
早い目、早い目に相場というものは人気の裏を行くもので、
これは大底が確認された以上、
大天井するまで買っておけばよいという大衆心理が、
そうさせるのである。
手亡も目先三百円押しを入れるか入れないかで、
若い相場のエネルギーが爆発しよう。
相場とは静かな時に玉を仕込むものである。
●編集部註
 結論から先に書くと、
この相場五月半ばまで保合い相場が続く。
運鈍根が重要という事を具現化した展開になる。
【昭和五十年一月十三日小豆六月限
大阪一万六八七〇円・一二〇円安/
東京一万六九七〇円・一〇〇円安】