昭和の風林史(昭和五十年一月十一日掲載分)
押し目は歓迎 弾みつき一段高
目先つなぎ売りの出る急所も、流れはゆるやかに変わりつつある。
浅い押し目は歓迎。
九日の商いは弾んだ。
大手亡は東京の九千枚台を筆頭に、
六市場合計で二万八千枚を越し、小豆も八千六百枚余を記録した。
十日も値動きの割りにはよく出来ており、
穀物相場への関心は日毎に盛り上がってきている。
さて小豆相場だが、買い方の強気にすれば、
先限一万七千円の砦を攻略、目先筋の踏み(イレ)を誘って、
一万七千四、五百円どころが「目標の第一地点」。
まあ、そういった筋書を描いているのであろう。
一方、戎天井と見る弱気は単に手亡に便乗のツレ高、
あくまでも売り安心である。
その根拠の一ツに
「先限の一万七千円には
ホクレンの指し値(売り)が相当入っている」と。
なるほどそうかも知れない。
産地の四~五月限を買って消費地へつなげば採算には合うし、
満足とまではいかないまでも、ひとまず生産者の販売目標価格に近い。
ごく目先的には攻めるも、守るも…の急所にあたる。
だがどうだろうか。このつまぜり合いも大勢の中では小さな渦巻き、
つまり〝アヤ〟といえないだろうか。
中~大勢はどうか。昨秋の収穫時意向の暗澹たる低迷期を経て、
ようやく潮の流れが止まる均衡を取り戻したところだ。
幸いつなぎは期先重点で、期近にはそれほど荷の重みは感じられない。
三十万俵の棚上げに加え、産地の農家は小豆に対しては、
他の豆類との比較からも割安感を抱いている。
これは昨年末の移出検査実施実績や、
消費地市場への入庫状況を見ても明らかである。
そして期先は…といえば、まだ手垢に染まっていない新鮮で
未知なる大材料がスペキュレーターの思惑を今や遅しと待っている。
少し飛躍するが、ことしの小豆相場、ホクレンのつなぎや、
弱気の戻り売りを消化して一万八千円を買い切る勢いがあれば、
とんでもない大相場に発展するのではないか。
まずそれには、ここらで充分練り固めて
エネルギーを存分に積み上げねばならない。
先行きの楽しみな攻防といえよう。
手亡は東西のサヤも修正、ひと息入れてもよいところだが、
下期外割もいんげんワクの削減は必至とあって、人気は容易に鎮静化しそうにない。
●編集部註
ご祝儀相場とは何か、と考えるときがある。
築地市場の鮪初競り等がその代表例。
しかし、これが商品先物市場にも当てはまるのか。
上昇だけが祝儀とは限らない。
【昭和五十年一月十日小豆六月限大阪一万六九五〇円・三〇円高/東京一万七〇八〇円・一〇〇円高】