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森羅万象

「ラムネ飲むやすずしき音をガラス玉 絵馬」 (2016.08.10)

昭和の風林史 (昭和四九年八月六日掲載分)  
悲観の要なし 厳然強気方針を
ヒビが入ったと見る人が多い。
しかし相場にヒビは入っていない。
強烈反騰可能な相場と見る。
「ラムネ飲むやすずしき音をガラス玉 絵馬」
これで強気期待の相場は飛び散ったか。
三日満月。四日日曜。
二日続きの休日のあいだ、
産地の天候は申し分なかった。
そして作柄は進んだ。
週明けの相場は、
第一土曜休会の分を含めて
二日分の下げを一度に出した格好。
下げが急ならば
灰汁抜けも早いと見るべきか。
かなり強気になりかけていた市場が、
これで弱気支配になって、
戻り売りが幅を利かすことだろう。

線型も〝大もみあい圏〟を下放れ、
一見して悪い。
ふと昨年の大暴落相場を思うのである。
だが、作柄が決定したわけではない
―というこの先の期待が強気に残されている。
早霜。早冷。長雨。台風。病虫害。

小豆先限の一万八千二百円どころ。
線型としても急所である。
落ち着けば強烈な買い物の入る地点だ。
旧穀限月の一万六千円。
物の値段としても下値の限界に近い。

売り方は利食い。買い方は投げ。
束(つか)の間の勝負が終わった。
次の勝負にもつれ込むには
買いナンピンの方法がある。

戻りをドテン売りすべきか。
在庫、供給量、発券、天候回復、
産地筋の売り物増加、仕手後退、
作柄見直し―等々を思えば、
ドテン売りも
充分間に合おうという迷いは
迷いを深くする。

長い間辛抱してきて
一気に勝負を決めた売り方は、
まず利食いして、
そのあと戻りを売るか、
それともさらに安ければ買いに回るか、
その出方が注目される。

筆者は小豆の一万八千円どころは、
いかに作柄が回復しようと
限界値段でむしろ七月26日からの
下げ幅が大きく、急であっただけに、
相場のスケールを大きなものにしたと判断する。

まして五日の夜放れ安のこの窓は、
短期日のあいだに埋めるものだと思う。
買い方は、
しばらく不快な日が続くかもしれないが、
筆者は下げ過ぎた相場だと判断する。
直る時は、やはり手亡からである。

相場の寿命は、この下げで長くなった。
そしてスケールがさらに大きくなった。
ヒビは入っていない。

●編集部註
この時、相場は大きな流れの中の小さな節目。
小豆絶叫アトラクションは
垂直落下から垂直上昇した後、
休む間もなく下り坂トレンドの
上下が厳しいローラーコースターへと乗り移る。

【昭和四九年八月五日小豆一月限大阪一万八二二〇円・七〇〇円安/東京一万八一二〇円・六九〇円安】