証券ビュー

森羅万象

弱気がふえる だが暴騰含みだ (2016.07.25)

昭和の風林史 (昭和四九年七月二十三日掲載分)
目に見えて弱気がふえているが
相場は逆に爆発しそうだ。
物の値段として二万円が妥当な小豆。
「麦茶冷し井戸より上ぐる音すなり 圭岳」
クロウト筋は小豆相場に対して警戒心が強い。
それは日柄の面で用心するからだ。
しかし総体的に弱気のクロウト筋は、
下げて、どのあたりを見ているかといえば千円下げである。
しかも千円下げた地点は成り行きの買い場と見ている。
いうなら千円下を買いたい弱気なのだ。

山梨商事の霜村昭平社長は
〝大勢絶対強気方針を崩してはならない〟と
小豆と米価との比較観から
『49年産小豆は二万円が必ず時相場になる。
生産者米価の37・4%アップという現実を直視すべきだ。
昔から小豆は米より二~三割高いものである。
米一俵が庭先で一万四千円。
この二~三割高として一万七千五百円。
山買い費用、値上がりする運賃、調整選別の費用など
一俵につき三千円はかかる。
そうすると消費地価格二万五百円だ。
これでは相場は叩けないし、下げきれない』
『目先的に土用の天候や作柄の回復などを
売り材料にしているようだが、
私は俵(たわら)の数の問題ではないと思う。
二万円が小豆の正しい値段であるという問題だ。
収穫量の多い少ないの次元ではない』

『相場というものは先見性で動く。
47年産の小豆は一万二千円が正しい値段であった。
48年産は一万五千円が妥当な水準である。
七、八、九、十月限の値段が一万六千円と
千円も上にあることや
60万俵の供給量があるといわれる北海道の古品の
相場が下げきれないのも
先行きの物の値段を知っているからだ。
相場とはどの値段が正しい値段であるかを
掴みさえすれば判り易い。
49年産→50年産と先々の社会現象と
その相場環境を考えてみれば
小豆の二万円時代は目の前に来ている』。

市場は全般に高値警戒感を強めている。
日柄の経過。天候の回復。買い方大手の後退。
頭つかえの線型。巧者筋の弱気観なども目につく。

しかし、この相場は下げきれない。
崩すことも出来ないだろう。
否、七月八日の高値
(大阪九千二百九十円12月限)を買い切れば爆走する。

線型で見る大きなダンゴは火薬が充満した樽に見えてくる。
火がつけば天をも突き抜ける火柱が立つだろう。
時間を買うつもりで黙って強気せよ。

●編集部註
 火薬相場は爆発する。

 とんでもない値がつく。

 しかし、火薬爆発は消えるのも早いのだ。

【昭和四九年七月二二日小豆十二月限大阪一万八九〇〇円・九〇円高/東京一万八九二〇円・七〇円高】