昭和の風林史 (昭和四九年七月十八日掲載分)
次は小豆の番 沸騰高を秘める
最終的に小豆が暴騰する。
手亡は行き着くところまで止まらない。
冷夏凶作は決定的だ。
「酌婦くる灯取虫より汚きが 虚子」
台風八号による集中豪雨で
国鉄東海道線が長い間不通だった。
その間、新聞輸送はトラック便に切り替えた。
しかしトラックによる輸送貨物が急増したり、
国道の渋滞などで配送は遅延した。
やっと汽車便の受けつけが再開されるや
次は山陰地方の集中豪雨で
国鉄ダイヤがまた狂った。
新聞が、その日のうちに配達できない地区が多い。
東京送りは航空貨物で夜の内に発送するが、
気象状況が悪かったり、
ハイジャック事件などで混乱した。
新聞が届かないという連絡を受ける。
そして台風九号の進路が嫌な予感を与える。
当社は、あらゆる方法を駆使して
新聞の発送、配達を
遅滞なく行うよう日夜努力している。
北海道も低温予報が出るほどの異常気象だ。
すでに手亡の作柄は絶望的と伝えて、
この日も相場は古品限月の自粛、
あるいは売買停止、張り付け天井であろう。
もしそうでなければ輸入の積極化、
供用品の優遇、建て玉、売買枚数の制限、
踏み一巡による天井打ち
というコースを辿るかもしれない。
小豆のほうは、
手亡高に刺激されて少しずつ硬化している。
小豆も結局は二万円突破
というコースを辿るだろう。
総需要抑制、投機資金枯渇など、
相場が熱狂出来ない背景は充分に認められるが、
四十九年産の不作が決定的な時だけに
将来の事を考えなければ、
一万八千五百円を割り切れない
という底堅い相場を見直される時が必ずこよう。
現在の小豆は
上昇エネルギーを蓄積している格好である。
古品在庫の圧迫、輸入発券、実需不振―
という相場の足を引っ張る要因はあるけれど、
それらは徐々に織り込まれつつかる。
結局は新穀の収穫減
という大きな存在の材料によって、
買い人気が爆発し、
大々的な踏み上げになるだろう。
下げるものなら下げている相場である。
下げきれないという相場の背景と
性格を見つめる時でなかろうか。
小豆は必ず急騰する。
●編集部註
イヤハヤ大変である。
紙媒体であるが故に、
新聞の配達は雨にめっぽう弱い。
今でさえ大変なのだ。
これが四十年以上前となると、
その苦労たるや如何ばかりか。
台風一過、苦闘する相場は
突然、買い方に快晴をもたらす。
ただ天井三日底百日とはよく言ったもので、
その後の下げがエゲつない。
千五百円強の下落がある。
【昭和四九年七月十七日小豆十二月限大阪一万八九一〇円・一四〇円安/東京一万八八六〇円・一九〇円安】