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森羅万象

吹き抜け街道 韋駄天走りだ!! (2016.07.06)

昭和の風林史 (昭和四九年七月五日掲載分)
去年の七月の天井値段を抜けば
吹き抜け街道韋駄天走り、
この道はいつか来た道。
「水打てば沈むが如し苔の花 虚子」
  
成育悪し成育悪し―の情報を入れ、
小豆と手亡の先二本新穀相場は
積極買いで高値を更新する。

すでに平年作は今後の天候が回復しても、
とどかない状態だから、作柄は、悪くなりこそすれ、
良くなる気づかいはない。

買い主力は小豆の二万円相場は
掌中にあると自信を強めている。
強烈に買い煽って、売り方の踏むところを利食いする。
行く過ぎて押してきたあたりをまた仕込む。
昨年は、先限、先限を煽られ、
この手で売り方は、
たとえ現物ヘッジ玉であろうと場勘定で苦しんだ。
今年もまた、
売り方が腹を立てるシーズンに入ったようだ。
この方法は、ひとたびツボにはまると、
やっている側は面白くてしようがない。
やられる側は怒り心頭に発する。
相場の遺恨などとは、こういうところから発生する。

昨年の高値一万九千三百円(天井七月13日)を
今や買い切って、
この新値抜けから吹き抜け街道となる。
いまのところ天井らしい現象はない。

熱狂していない事。人気化していない事。
安心買いになっていない事。
むしろ逆に市場は冷静で警戒人気が強い。
出来高面も場が割れるようなこともなく、
いまだ延刻延刻という緊迫感もない。
そうなると、相場の成り行きで
昨年の天井値段大阪一万九千三百円を抜けば、
一発S高ふっ飛ばせば二万円。
付いてしまえば付いた値が相場。
二万円どころでは、まず利食いも出よう。
乗せてから押すか、力をためてから乗せるか、
そのような事は大勢に影響なく、
湧いたあたりに輸入発券。

さてそこで押し目攻勢となるが、
作柄悪し、天候悪しの素地があれば
三日と押さずに一日半。
すかさず熱烈強気の拍手で買われて、
今度は承知せんぞ、売り方皆殺しの大征伐。
いけいけムードの二万円が二万三千円。
取引所は増証増証、
主務省当局は規制強化を叫ぶ段取りになる。

この道は、いつか来た道。
あーあ、そうだよ、アカシヤの花の咲くころ。
太鼓を叩いてドン。小豆が高くてドン。
手亡も高くてドン。売り方立腹してドン。
ドンドン走れ、赤勝て白勝て、
判りやすい相場になってきた。

●編集部注
五〇〇円前後のレンジ相場。
数回続いた所は要注意。
大概その法則性は手痛いしっぺ返しに遭う。
【昭和四九年七月四日小豆十二月限大阪一万九〇四〇円・七〇円高/東京一万八九九〇円・一〇円高】