昭和の風林史(昭和四九年五月一日掲載分)
五月の2日あたりが相場の急所になりそうだ。
噴き値利食い、押し目待ちの押し目買い場面。
「新茶来て小さき壷にややあふる 秋桜子」
小豆相場は、このあたりで押し目が入るだろう
―という慎重な見方が依然として根強い。
六月にかけての金詰まりや
新ポ人気の勢いで買われたあたり、
産地からの売り物が出そうな空気や、
満庫だった東京の倉庫も、
ぽつぽつスペースが出てきた。
大型連休と節句需要が一段落すれば、
例年〝六月崩しみようの事〟―
本間宗久秘伝の一節「六月崩し」を警戒して、
利のある玉は利食いに向かう。
買い方強気筋も九月限の七千円割れは
買い玉仕込む態勢であったが、
生産者米価の要求額に刺激を受けた相場を眺め、
ややとまどうのであった。
いずれ(先に行けば)高いのであるが、
段取りの出来ていない今すぐに
ズンズン高いのは、なんとも間が取れない。
従って、利食いする。
利食いしたあと、押し目を待って買う。
それでよいのではないか―と。
とりあえず相場は勢いに乗って
産地新穀限月が買われるだろう。
そこで湧いてしまえば、
あるいは軽い押し目を構成しようが、
安いところの売り玉が逃げられるほどの下げはない。
プロの将棋指しでも碁打ちでも、
形成が一方的によいと〝足がふるえてくる〟という。
それと同じで小豆の買い方は、買っていて、
あまり相場が都合よく進むと、
つい〝足がふるう〟のだ。
ここのところ目先について言えば、
噴き上げてしまうのもよい。
深い目の押しを入れて、
判りやすくするのもよい。
浅い押し目で人気を迷わすのもよい。
値段の面では八千百五十円どころが
目先の急所になっている。
日柄では五月の新ポ、2日が急所である。
3・4・5・6日の四連休を控えて、
商いもつい消極的になるところだけに、
目先微妙―といえる。
思えば、四月2日に
一万五千二百六十円の安値寄り付きから
二千五百円強を上伸した。
一月4日、二月4日、三月4日が
それぞれ相場の転機になったように
今度は四月2日、五月2日が
変化日になりかねない。
六月は〝大荒れの三日新ポ〟になる。
五月相場がどのような動きになろうか。
●編集部註
この文章を書いている最中に
日銀金融政策決定会合の結果が出て
ドル円相場が急変した。
目の前で蒼ざめている人がいる。
往々にして大型連休の前後では
相場は大荒れ模様になる。
それは、今も昔もあまり変わらない。
【昭和四九年四月三十日小豆九月限大阪一万七六五〇円・九〇円安/東京一万七六一〇円・一〇〇円安】