昭和の風林史(昭和四九年四月二三日掲載分)
この相場の天井について考えてみよう。
なあに二万五千円張り付けのさという考え方である。
「うすうすと空に日はあり蕗の原 木国」
米原あたりはもう田植えをしていた。
米作技術が進み、苗代をビニール張りして
歳時記では六月の季題である田植が、
四月に行なわれてはどうも妙な感じがする。
以前は新幹線の車窓からも麦畠が見られたが、
麦畠が姿を消してから久しい。
麦が熟れるころを麦秋といい、
麦刈り、麦打ちは農家の田植前の仕事であった。
さて20・21日の二連休が終わって
28・29日の二連休を控え、
すぐまた3・4・5・6日の四連休。
即ちゴールデン・ウィークに突入する。
この間、仕事のほうは、さっぱりはかどらない。
九州博多は今月末がどんたくで、
どんだくを博多の春の終とし(水城)・
メーデーの大いなる旗に搏たれたり(英樹)―となる。
労働歌は汝の職場を放棄せよとがなりたてる。
メーデーのシーズンがくると
当社にも大きな赤旗が欲しいと思う。
まずそれには労働組合を結成しなければならない。
社員は、
そのような事をするのは、めんどうくさいと言う。
働く者の祭典、メーデーに、
われわれも参加しようと、毎年呼びかけるのだが
誰一人として関心を示さないのは困ったことである。
さて小豆相場であるが、
大局的にこういう見方が成り立たないか。
43年一月から45年二月東穀のハプニング
18日までの七千円台から一万六千三百九十円まで
実に倍打ち相場が月棒で15本。
次に45年十一月10日九千六百十円の相場が
46年十月7日二万一千三百六十円までの
一万一千七百五十円高の相場が月足で12本。
そして47年九月18日七千七百八十円から
48年七月13日一万九千七百三十円まで
一万一千九百五十円高の相場が月足11本。
それでは今の相場は
48年九月11日一万三百十円から出発しているから
月足でまだ7本目である。
少なくとも十本。
と見るなら七、八月あたりに
要注意点が絞られるわけだ。
今の相場→大相場→その天井は?
張り付け二万五千円天井か、
それとも作柄が判然とする八月中、下旬から
九月上旬となろう。それまでは絶対に天井を打たない。
これ信念である。
だから天井するまで相場は買いである。
●編集部注
この文を読んではじめて、映画「七人の侍」が
麦秋から物語が始まっている事に気付く。
【昭和四九年四月二二日小豆九月限大阪一万七二七〇円・一四〇円安/東京一万七一二〇円・二五〇円安】