証券ビュー

森羅万象

卒倒場面あり 現物三万円時代 (2016.04.21)

昭和の風林史(昭和四九年四月十七日掲載分)
相場は横に這って押し目の役を済ませている。
押したら買いたい人ばかりである。
「水影ののぼるが如し水芭蕉 枝幸」

押し目が入るといよいよ判りやすくなる相場だが、
結局は上のものという先高の期待が強いため、
押しても浅いし、
ここのところは買うだけ
買い切ってしまうまでは押さない。

15日・月曜は板崎系が10車、
深川筋が定期売り見合いで10車ほど
手当てしていた。

売り好きの丸五商事の伊藤徳三氏あたりでも、
この小豆相場は、うかつに弱気出来ないという。
お客さんは総体に安値(八限の五千四、五百円どころ)を
売り込んでいるようだが、
クロウト筋は阿波座にしろ、
売り好きの伊藤氏にしろ、
先行きのただならぬ様相を早くも感じている。

農林省調べの北海道小豆の反当たり生産コストは
48年で一万九千円。
本年は35%アップで二万五千六百円ぐらいにつく模様。

従って、今予想されている収穫予想反収一・六俵で
前年並みの手取り純益を計上しようと思えば
素俵二万五千円。定期二万七千円の値段が欲しいわけだ。

筆者は、今年の小豆相場は二万五千円ぐらいで
上下価格がはめられて、
あと現物相場の三万円が不作決定後に実現すると予想する。

それまでには幾多の起伏がある。

仕手も縦横に活躍しよう。

規制に次ぐ規制は、建て玉制限、大幅増証、
売り方倉荷証券、買い方丸代金ということにもなろう。

それでも諸物価の高騰(電力、賃金、米価、石油、
国鉄、私鉄運賃)に刺激され、食糧不安におびえ、
現実の天候異常、低温が続けば、
今の相場が二万五千円→(現物三万円)は
遠い先のものとは思えない。

金詰まりの時こそ投機人気が集中しやすい。

われわれは、昨年秋のトイレットペーパー、
灯油、砂糖などが一夜にして姿を
消した現実を見てきている。

ひとたび小豆に、あの熱狂的な神がかりとも
思える買い気が集中すれば、
市場は割れんばかりの喧噪に取り巻かれ、
市場管理委員会は狼狽の極みに達するだろう。

目先、小豆は押してくれたら、
どれだけ買いやすいか―。
そう思っている人たちばかりだ。

しかし、いざ押してくれば買いきれない。
相場は横に這って押し目の役を
すませているように思えた。

●編集部注
この時、日足に三月頭に出現したものと
同様のマドを空けた陽線が登場。

ここからしばし、売買攻防戦が繰り広げられる。

【昭和四九年四月十六日小豆九月限大阪一万七四七〇円・四〇円安/東京一万七三九〇円・五〇円安】