昭和の風林史(昭和四九年三月二三日掲載分)
まだまだ判然とした動きが掴めない小豆相場であるが、
ぼんやりと強気するしかない。
「牡丹の芽当麻の塔の陰とありぬ 秋桜子」
いまの相場を疑問視している人に言わしめれば
『先に行っての天候相場、しかも本年の異常気象―。
これは誰でも充分に意識している。
従って天災期限月は買いしかないと信じている。
相場というものは、
百人が百人そのように決めつけて先高絶対―
と思うようになると逆の現象が出るものだ』。
七、八月限の
一万六千五、七百円以上を買いついている。
そして五、六月限の
前の高値一万七千円どころを随分買った。
それらの玉が整理されずに
先高を期待して辛抱している。
だから上値は因果玉で抑えられている―
という見方も出来るようだ。
しかし、一万五千五百円以下(天災期限月)は
仮りに需給量が豊富でも、
また高値因果玉が抑圧しようと、
相場としての小豆の価格は、
妥当な水準であるように見える。
六千円割れは三百円幅で買い下がる方法。
天候相場に入れば照った曇った、
その日その日の天候で大きく上下動する。
今の相場はまだ、
のびのびと運動できる広さの運動場に
恵まれていないだけだ。
現在、この相場を弱気している人は
一体どのあたりの値段を考えているのであろうか。
よもや昨年九月の一万五百円や、
昨年四月の一万八百円などを思う人はいなかろう。
せいぜい弱い人で先限の一万五千円割れ。
即ち一万四千五百円ぐらいを
〝あればいいのだが〟という考えではなかろうか。
それも四、五月限の一万四千五百円以下を売り込んで、
安い売り玉を抱いたまま
苦しい思いをしてきたことから、
わけあっての未練の弱気を通しているにすぎないのだ。
さて、きょうは短波放送でおなじみの
京都の大原経済統計研究所が
京都タワーホテルで午後一時から修得者大会を行なう。
各地より(先着)三百名を限定して
大原雄三先生と膝を交えての相場研究。
それが済むと四時から大宴会場での晩さん会。
筆者も御招待を受けている。
大原信者、大原ファンは全国に数千名を数える。
筆者は大原さんの偉大さにいつも頭が下がる。
●編集部註
大原経済統計研究所をネットで調べてみたが、
残念ながらこれといったものは見つからなかった。
ただテレビと違い
ラジオ番組は結構な長寿番組が少なくない。
この年の四月に始まった浜村淳の番組は
今も放送中だ。
【昭和四九年三月二二日小豆八月限大阪一万五八九〇円・三九〇円安/東京一万五七七〇円・三二〇円安】