昭和の風林史(昭和四九年一月三十日掲載分)
46年は増山・凶作相場。
47年は大豊作相場。
48年は板崎・インフレ相場。さて本年は…。
「宮をぬけ寺をぬけゆく枯野かな 非文」
昭和46年の二万円小豆。
これを増山相場あるいは凶作相場と名づければ、
48年の相場は板先相場、
あるいはインフレ相場と言えるかもしれない。
46年大発会一万二千六百六十円で生まれた小豆は
三月5日一万一千五百三十円を
46年中の最安値として
十月7日凶作も手伝って二万一千四百十円、
市場最高値に買われて天井を打った。
この相場が47年九月19日の七千七百五十円まで
大勢三段の〔一万三千六百六十円幅〕を下げに下げた。
46年10、11、12月の下げは仕手崩れ現象と
凶作(収穫六十六万五千俵)を織り込み、
輸入小豆圧迫で崩れたものである。
そして47年は一月12日、
東穀ハプニングをきっかけに、売り込まれた相場が
二月12日一万六千九百三十円まで
〔四千円幅〕を急反騰したが、
この値段が47年中の最高値になった。
前年の二万円相場の反動と
大幅増反(六万三千四百ヘクタール)、
そして反収二・九俵(百九十二万八千俵)という大豊作。
それに輸入品の圧迫である。
さしもの大下げもホクレン棚上げ、
総悲観人気、日柄経過で止まったわけだが、
このあたりから桑名の相場師が積極的に介入、
48年の強烈インフレ下の
板崎相場が展開されるのである。
48年は三月10日天井四月底。これが第一波。
七月13日天井、九月11日秋名月底。これが第二波。
そして11、12月高の49年大発会天井。
これが石油相場で第三波になっている。
二、三月の
大豆、毛糸、木材、面などの商社買い占め。
四月その反動七月インフレ再燃。九月反省安。
四月と九月の安値は
両方とも一万一千円どころであることは、
この年、豊作でしかも47年産在庫豊富にもかかわらず、
47年の時のように一万円大台を割らなかったのは、
インフレという背景があったからで、
年末にかけて第三波、
石油危機によってそれは天井に達した。
こうみてくると49年大発会天井は、
大局的に見るならば
当然の成り行きたったという事になる。
問題はこれからである。
総供給量と相場水準(インフレ織り込んで)を
どう判断するか。
それを基調にして仕手要因と
諸現象材料(輸送難等)。
作付けと天候という事になる。
さて人気の趨勢はどうなのか。
●編集部注
この前年の九月安値からみると、
この年の一月下落場面は
、綺麗な修正安相場。
丁度半値押しで切り返す展開になる。
【昭和四九年一月二九日小豆六月限大阪一万五四二〇円・二八〇円安/東京一万五四〇〇円・一六〇円安】