昭和の風林史(昭和四九年一月二九日掲載分)
一般に気迷いである節分底と見るか、
二月高は売り場と見るか。
相場は人気の裏を行く。
「寒天小屋の暦の日々を消してゆき 非文」
納会の値段は、付いてみると〝成る程〟ということになる。
納会一週間前くらいから、
取り組み表に赤線を引いたりして、
どこが渡す、これは空だ―などと、
詮索するわけで、取り組み表を読む。
大阪小豆は小甘い納会。名古屋は安い。
東京は他市場より高い水準にあったから
サヤを寄せて安かった。
これを見ていて期近の一万二千円は
地相場観を強くした。
本来なら東京の安納会で
先限も気の滅入るところであるが存外と堅い。
という事は先行きの輸送事情、天候、
作付け動向、仕手期待感などがからんでいて、
売り警戒、悪目買い人気が
支配しているからである。
ひとつの見方として
二月新ポ生まれの七月限と三月新ポの八月限、
なお念のため四月新ポの九月限、
この天災期限月中の
花形である七、八、九限の生まれぐあいを見てから
決定的大局方針を決めても遅くないのかもしれない。
一般に市場では
節分あたりに底入れしようと観測している。
去年は一月底。
三月まで冒頭、昔の陸軍記念日の三月10日が天井。
あと暴落。四月14日まで音をたてて崩れる。
それからの相場が七月13日までの大相場。
そしてこの反動が
先限引き継ぎ八千八百円強の幅を
棒に落とす厳しさで
九月11日十五夜の名月にようやく止まった。
あとは御覧の如く再び上昇一路で
本年一月大発会が天井型。
このように見てくると、
去年は一、二、三月と高く四月安。
五、六、七月と上げて八、九月安。
十、十一、十二月と上げて本年一月安。
このバイオリズムが続くとすれば
早くて二月、遅ければ三月から高いことになる。
巧者は、案外―と、こう言う。
二月に戻して人気を強くし、三月戻り天井。
それをぶっ叩いて四月底。
人気を弱くしておいて作付け動向待ち、
即ち本年最大勝負の買い場づくり。
あとは天候に身をゆだねる天の運―と。
なお三十七年は一月底、二月天井、
九月19日大底をした小豆相場である。
●編集部注
節分天井、節分底―。
仮にこの相場格言通りであったとしても、
節分まではまだあと数営業日残っている。
皮肉なもので、底値というものは、
買い方の大半の心根を
ポキリと折ったところでつけるケースが少なくない。
【昭和四九年一月二八日小豆六月限大阪一万五七〇〇円・七〇円安/東京一万五五六〇円・七〇円安】