証券ビュー

森羅万象

新鮮な相場に 長期買い方針で (2016.01.25)

昭和の風林史(昭和四九年一月二二日掲載分) 
サランパランと相場がほどけて
新鮮なものに生まれ変わる。
下げがきついほど反騰力もきつい。

「背低きは女なるべし寒詣 虚子」

相場観が対立する久しぶりの場面になって、

馬鹿のひとつ覚えの、
なんでもよいから買い一貫という、
相場らしい相場になったようだ。

政府の物価に対する積極的な抑制策が、
心理的にも小豆相場の高値を警戒させ、
利のある玉は利食いしておこうという動きと
大発会以降の相場の、なんとなく重い姿を眺め、
新しい買い材料が出現するまでは
積極的に強気出来ないとする動きが重なった。

一種の気崩れ現象だ。

線型は、スッポ抜け型だ。

しかし、これが大崩壊の前兆であるかどうか、
ここのところが難しい。

下値には自ずから限界があろう。

その限界がサ期限で一万五千円なのか、
一万五千円を割ったあたりか。
それとも一万六千円割れで終わるのか。

これからの小豆相場は

①異常天候。天候異変という現実の材料。
②現物の売れ行き不振。
③産地の供給力。
④輸送事情の悪さ。
⑤政府の物価対策。
⑥金詰まり。
⑦インフレ物価高傾向。
⑧投機人気の動向。

―等々をよくよく考えていかなければならない。

今年は凶作年だとする半ば狂信的な買い方は、
今回の崩れに対しても好買い場出現という見方で
買い下がり方針を貫く事だろう。

この考えは相場の強弱ではなく、
むしろ宗教的信念とでもいうべきである。

一方、弱気する側にとってみれば、
相場はあくまでも相場で、安心買いに走り過ぎた事。
日柄が経過しすぎているし、
政府当局の物価安定方針に
逆らうことは出来ない環境である事。
石油事情も緩和されている―など、
相場の上値にも限界がきていたことを重く見るであろう。

さて、膠着状態だった相場が、
これでサランパランとほどけた。

投げる者、新規に売る者、新規に買う者、
売り玉を利食ってのドテン買い越しなど様々である。

このようにして相場は
酸素を吹き込み新鮮なものとなる。
下げがきついほど次なる反騰も大きなものになると思う。

●編集部注 
 〝宗教的信念〟と言われてはもう何も言えぬ。
ある意味、風林火山でなければ断じて書けぬ啖呵。
市井の職業記者は書かぬし書けぬ。
デスクのツッコミが入り仕舞いである。

 見方を変えればこの時代、
このコーナーが既に相場分析の当外や
内容の是非を超越した存在になっていると解説できる。

 それだけ、読者の心を掴んでいたのであろう。

【昭和四九年一月二一日小豆六月限大阪一万五九七〇円・六五〇円安/東京一万六〇九〇円・五一〇円安】