証券ビュー

森羅万象

売ると逆襲高 買えば一段安へ (2015.07.10)

昭和の風林史(昭和四八年七月四日掲載分)

魂を悪魔に売ったグループが
ゴルフに行くと閑になり、売ればS安。
買えばS高。まだまだ荒れる。

「老僧の骨刺しに来る薮蚊かな 虚子」

不快指数一〇〇%の相場である。
くるかもしれないと思っていたS安が実現した。

二日の新ポは、人気が非常に強くなった。
手の悪い筋が買いに回った。
先月末、窓明けて飛んだところを
当たり屋筋が利食いした。
十月限の五千円割れ、十一月限の六千円割れを売った、
非常に手の悪い筋が踏んだところを利食いした。

うまくいくと、こういうふうになるし、
まずくなると、持って回るように
テレコ、テレコ、いすかのはし。
その見本みたいである。

それでどうなのか。
千二、三百円下げ。
申し分ない押しと見れば、もう一段安しよう。
売ったらやられるだろうし、
買ったらやられるに決まっている。

神の御加護を―と十字を切るしかない。

〝わしゃもう死にたい〟という。ほんまや。

この相場をモノにするには
①ある種の特定グループに参加すること
②それとも好運のバイオリズムにのっていること
③狂人の如きある種の信念を持っていること
④アラーの神の御加護があること
―そのいずれかである。

なんら買えるべき要因のない相場だったから高かった。
これを相場の持つエネルギーと軽く言ってのける。
力相場である。
力はすでに正義である。
その考えがまかり通った。

いまここで、S安、S安、S安と
三発でも四発でもS安を買い下がるという手もある。

あるいは十日ばかりグアム島にでも旅行して
相場のすべてから放れる。

波に乗っている人は
その好運を逃がさぬよう勝って兜の緒を締める。

どこかで、大幅増反と大量の在庫と
規制強化、日柄を経過した高水準の相場の反動が
必ず出るだろう。

今がその走りなのかもしれない。
だが待てよ―と腕を組む。

なにも相場は天井を売らなくてもよい。
波動が変わったと気がついてから売っても遅くない。
だが現在の相場の傾向は実に気まぐれである。
悪魔に魂(たましい)を売ったグループの
考え方一つでS安がS高に転化するし、
彼らがゴルフにでも行けば、
相場はアッケラカンと閑になる。な
にが悲しくて一生懸命相場を考えんならんか。

●編集部註
ぼやくとくすぶる。

勝負師の鉄則である。

ロバート・ジョンソンではあるまいし、
さすがに゛魂を悪魔に―〟の表現は洒落にならない。

【昭和四八年七月三日小豆十二月限大阪一万八〇〇〇円・七〇〇円安/東京一万八一二〇円・七〇〇円安】