昭和の風林史(昭和四八年五月十八日掲載分)
天井現象はなにもない。
基調は堂々の上昇過程だから押すと、
再び強烈に反騰する。買い一貫。
「冷酒の利いていよいよ舌足らず 草城」
豊富な在庫を無視するわけにはいかないが、
過大評価するのもどうかと思う。
すでに在庫の多い事は、
小豆相場に関心を持つ人なら百も承知で、
二月の納会の時も、三月納会も、四月の納会でも、
悪い悪いと言われながら、相場はケロッとしていた。
という事は、在庫の数字に関しては
すべて織り込み済みというわけだ。
もっとも弱気している人は在庫数字に頼るしかない。
産地の気温は異常なほど高い日が続いている。
これは太平洋高気圧が発達して
暖気を上の方に押し上げているからで、
月末ごろには今ヨーロッパを冷やしている寒気が
北海道に影響してくる予想。
市場人気は桑名筋の出方を注目している。
今月も納会では予定通り限受けするだろうから
納会は高いという見方が支配的だ。
目先的には一万四千円を付けたことから
利食いの押し目がはいってもおかしくないし、
ここで押せば、また売り込む人もあるだろうから
相場は四千五百円→五千二百円の
仰角83~85度の斜線帯の目標値に
棒を立てることになろう。
今年にはいってからの相場を見ていると
一ツのパターンがある。一月、二月、三月(10日)の、
あの六千円以上を騰げた相場も、
四月14日からの三千円騰げも、
同じ進行状態で、
押すたびに、より以上の力をつけている。
小豆の一万四千円が高すぎるのか、
妥当な値段なのか、それとも安すぎるかは
人それぞれのもっている物差しの当て方で違うだろうが、
人気の寄るところ、付いた値が相場になって、
誰も文句は言えない。
すでに相場基調は明らかに上昇型である。
そして〝天井現象〟が全然あらわれていない。
即ち熱狂したり、S高連発や、総踏み上げなどの―。
さすれは基調は不変。日数もまだ浅い。
故に相場は押し目でしかない。
中勢五千二百円。それまでの押し目は買いの一手である。
相場金言に「もうはまだなり」というのがあるが、
もう、もう言いながら、
あれよ、あれよという場面が展開するだろう。
押し目につられて売るとひどい目にあう。
●編集部注
「買えない相場は強い」の典型例といえよう。
逆に利食いは出来る。
曲がった時は我慢出来るのに、
利食いが辛抱出来ないのは何故なのだろう。
【昭和四八年五月十七日小豆十月限大阪一万四二〇〇円・二八〇円高/東京一万四二七〇円・二四〇円高】